企業向け無線LANの構築をサポートする技術としては、メッシュWi-Fiも挙げられる。メッシュWi-Fiはある意味で「常識」を覆す技術だ。これまでは無線LANといえど、LANスイッチから無線LANアクセスポイント(AP)まではLANケーブルを敷設する必要があった。
床下や天井裏にLANケーブルを通す配線工事にはコストや時間がかかり、AP設置の足かせとなっていた。メッシュWi-Fiを使えばLANケーブルを敷設せずにAPを設置したり、増設したりできる。
従来LANケーブルを敷設できない場所で無線LANを使おうとすると、中継機を使って電波の到達範囲を広げるしかなかった。しかし中継機では複雑な経路制御はできない。
端末からAPまでの経路が固定されるため、経路上のAPに障害が起きても別の経路で回避するといった対応はできない。またハンドオーバーにも対応しないため、端末が中継機の電波の到達範囲から出た場合には接続が中断してしまう。
メッシュWi-Fiはこうした中継機の欠点を解消している。メッシュWi-FiはWi-Fiルーター(子機)同士でネットワークを構築する。中継機との大きな違いはそれぞれの子機が、最適な経路を算出して通信する点だ。
経路上で障害が発生したり、通信負荷の高い箇所があったりした場合、回避して別のルートで通信を継続できる。ハンドオーバーにより、端末が移動することで子機との接続が切れても、自動的に他の子機と接続し通信を継続できる。
中継機とメッシュWi-Fiの違い[画像のクリックで拡大表示]これまで家庭向けのイメージが強かったメッシュWi-Fiだが、企業向けをうたう機器を販売するベンダーも出始めている。例えば米ネットギアは「Orbi Pro」という企業向けのメッシュWi-Fi機器を提供している。「ハードウエアの仕様を高めて処理性能を向上させ、ビジネス用途に対応できるようにしている」(ネットギアジャパンセールスマネージャーの渡部 敏雄氏)。
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