今回のニュースレターでは、2021 年 12 月の証券法、競争法、データ保護法、消費者保護法に関連 する主要なアップデートを取り上げています。主な内容は、以下の通りです。
1. 証券法(Securities laws)
1.1 Amendment to the Securities and Exchange Board of India (Substantial Acquisition of Shares and Takeovers) Regulations, 2011
1.2 Circular regarding clarifications to the amendment to the Securities and Exchange Board of India (Portfolio Managers) Regulations, 2020
1.3 SEBI Board Meeting dated 28 December 2021.
2. 競争法(Competition law)
2.1 Proceedings against Amazon.com NV Investment Holdings LLC under Sections 43A, 44 and 45 of the Competition Act, 2002
3. データ保護法(Data Protection law)
3.1 Report by the Joint Parliamentary Committee on the Personal Data Protection Bill, 2019
4. 消費者保護法(Consumer Protection law)
4.1 Introduction of the Consumer Protection (Direct Selling) Rules, 2021
1. 証券法(SECURITIES LAW)
2021 年 12 月の証券法関連の主なアップデートは、次の通りです。
1.1. Amendment to the Securities and Exchange Board of India (Substantial Acquisition of Shares and Takeovers) Regulations, 2011
1.1.1. 2021 年 12 月 6 日、インド証券取引委員会(=SEBI)は、2011 年インド証券取引委員会(株式 の実質的取得および買収)規則(=SAST 規則)の改正に関する通知を行いました。公開買付によ る上場会社の株式上場廃止に関する規制の枠組みが改正されます。当該改正は、2021 年 12 月 6 日 より発効となります。
1.1.2. 2021 年 6 月 25 日、SEBI は、公開買付による上場廃止において、買収者が公開買付を実施して株 式を取得し、取得株式の一定部分を処分して最低公約株式保有率基準である 75%を満たした後、 上場廃止基準となる 90%を満たすために再び株式を取得する必要がある、という問題に関するデ ィスカッション・ペーパーを発表しました。SEBI は、公開買付実施後、買収者が 90%基準を満た すようであれば、直接の上場廃止を認めることを提案しました。
1.1.3. 改正によると、買収者が公開買付後の対象会社の上場廃止を意図している場合、公開買付けの詳細 公告時に、その旨の開示が求められることになります。
1.1.4. 改正後の簡略手続きの適用対象となるためには、買収者は以下の条件を満たす必要があります。
1.1.5. 上場廃止自体は達成できなかったものの、買収者の株式保有率が基準値である 75%を超えた場合、 買収者は、当該保有率を維持していることを条件に、公開買付の完了日から 12 ヶ月が経過する前 の期間であれば、上場廃止規則に従い、対象会社の上場廃止を再度試みることができます。
1.1.6. 今回の改正では、対抗的申出があった場合に、買収者は対象会社の上場を廃止する権利を持たず、 当該申出による遅延を理由とする株主への利息の支払義務は発生しないことも明確化されています。
1.1.7. Please click here to read the amendment notification.
1.2. Circular regarding clarifications to the amendment to the Securities and Exchange Board of India (Portfolio Managers) Regulations, 2020
1.2.1. 2021 年 12 月10 日、SEBI は、ポートフォリオ・マネジメント・ルートでの代替投資ファンド(= AIF)投資家による共同投資を促進する 2020 年インド証券取引委員会(ポートフォリオマネージ ャー)規則(=PMS 規則)の改正に関して一定の明確化を図る旨の通知を発出しました。当該 SEBI は、当該通知にて、SEBI に登録されたポートフォリオ・マネージャーである AIF のマネージ ャーは、事前に通知した場合に限り、共同投資サービスを提供できることを明確にしました。また、 SEBI に登録されていないポートフォリオ・マネージャーである AIF マネージャーがポートフォリ オ・マネジメント・ルートを通じて共同投資サービスを提供しようとする場合、PMS 規則に基づき、 ポートフォリオ・マネージャーとして SEBI に登録することが必要となります。
1.2.2. 通知にて、ポートフォリオ・マネージャーは、毎月末から 7 営業日以内に、ポートフォリオ・マネ ジメント活動に関する月次報告書を SEBI ポータルに提出し、四半期毎に、ポートフォリオ・マネ ージャーが提供する共同投資サービスの詳細を含む報告書を顧客への提出が必要となることについ ても、明確化されています。
1.2.3. また、手数料や料金、ポートフォリオ・マネージャーによる顧客の直接受け入れに関する規定は、 共同投資サービスには適用されないことも明確化されています。
1.2.4. 当該改正内容の内、報告に関するものについては、2022 年 4 月以降に行われる SEBI への月次報 告および顧客への四半期報告から、その他については、PMS 規則の適用日から発効されます。
1.2.5. Please click here to read the circular.
1.3. SEBI Board Meeting dated 28 December 2021
1.3.1. 2021 年 12 月 28 日、SEBI は、理事会にて証券規制に関する多くの改正を承認しました。理事会 で承認された重要な改正点の内、一部を抜粋して紹介します。 1.3.2. 2018 年 SEBI(資本の発行及び開示要件)規則(=ICDR 規則)および 2015 年 SEBI(上場義務 及び開示要件)規則(=LODR 規則)の改正が承認されました。 a) 募集要項にて将来の無機的成長を発行の目的としているが、買収や投資の対象を特定していな い場合、発行会社は、そのような目的を達成するため、あるいは一般的な企業目的のために、 調達総額の 35%を超えて使用することはできません。 b) ICDR 規則 6(1)で規定されている、上場の一般的な基準を満たしていない発行会社の既存株主 が売却のために提供できる株式数の上限が制限されています。 c) アンカー投資家が保有する株式について、50%は 30 日間、残りの 50%は 90 日間、ロックイ ンされます。 d) その他、発行資金のモニタリングと利用、非機関投資家への配分方法、優先発行の場合のロッ クイン規定等の改正が承認されています。 1.3.3. 1996 年 SEBI(ミューチュアル・ファンド)規則に関する改正の承認 a) 2023-24 年度以降、投資信託のスキームはインド会計基準(IND AS)に従うことが義務付け られます。また、冗長な規定を削除し、より明確にするため、他の会計関連の規制条項につい ての改正も承認されています。 b) ミューチュアル・ファンドの受託者は、ミューチュアル・ファンド・スキームの解散やクロー ズド・スキームのユニットの早期償還に先立ち、投資者の同意を得ることが義務付けられます。 1.3.4. 2018 年インド証券取引委員会(決済手続)規則に関する改正の承認 a) 和解申請の期間が、show cause notice または supplementary notice の受領日から 60 日に 合理化されました。 b) 和解の前提条件、非金銭的条件、手続きの不備に関する規定、和解スキーム、弁護士費用など、 和解手続きに関する一部の規定が明確化されます。 c) 和解規則に基づく支払いは、全て、専用の支払いゲートウェイを通じてのみ受け付けられるこ とになります。 acuitylaw.co.in d) 複合申請書に基づき、適切な条件に到達するために採用すべき手続きについて取り扱う個別の ガイドラインの発行が承認されています。 1.3.5. 取締役に任命もしくは再任命されなかった者、または上場企業の株主総会で拒否された者について、 その後の任命もしくは再任命に関しては、株主の事前承認を必要とする旨の規定を LODR 規則に導 入することが承認されています。 1.3.6. Please click here to read the press release. 2. 競争法(COMPETITION LAW) 2021 年 12 月の競争法関連の主なアップデートは、次の通りです。 2.1. Proceedings against Amazon.com NV Investment Holdings LLC (“Amazon”) under sections 43A, 44 and 45 of the Competition Act, 2002 2.1.1. 2019 年 11 月、インド競争委員会(=CCI)は、Amazon による Future Coupons Pvt Ltd(= FPCL)の株式 49%の取得を承認していました。しかし、2021 年 3 月 25 日、FPCL は、Amazon が FCPL への投資目的、および Future Retail Limited に対する権利について虚偽の表示を行い、重 要な情報を隠蔽していたとして、CCI に申請を提出しました。 2.1.2. CCI は、申請内容を考慮した結果、Amazon が当初の申請書で重要な事実を誤認・隠蔽していたこ とを認め、Amazon に対して、原因究明の命令を下していました。 2.1.3. CCI は、Amazon は、当初の申請において、FPCL への投資の目的は同社に長期的な価値を創造し、 投資に対するリターンを提供し、インドの決済環境における Amazon の既存の投資を強化すること である、と述べていました。しかし、内部文書に基づくと、当該取引の背景には、小売分野で外国 直接投資が開放される時期に、Future Retail Limited の唯一の最大株主になることがあった、とし ました。 2.1.4. このため、2021 年 12 月 17 日、CCI は、Amazon が 2019 年の投資の実際の範囲を隠していたと して、提出予定であった新たな申請の処分まで、保留するとの判断を下しました。 2.1.5. CCI が承認を一時停止したのは、今回が初めてです。また、CCI は、Amazon が FPCL の買収のた めの通知上、重要な事実を誤認させ、相互に関連する手順を通知しなかったとして、約 20 億ルピ ーのペナルティを課しました。 2.1.6. Please click here to read the CCI order. 3. データ保護法(DATA PROTECTION LAW) 2021 年 12 月のデータ保護法関連の主なアップデートは、次の通りです。 acuitylaw.co.in 3.1. Report by the Joint Parliamentary Committee on the Personal Data Protection Bill, 2019 3.1.1. 2021 年 12 月 18 日、2019 年個人データ保護法案に関する議会合同委員会(=JPC)は、国会に 報告書を提出しました。報告書には、法案の規定に関連するデータ保護およびプライバシーに関す る主要な提言と、法案の条項ごとの審査、の 2 つが含まれています。 3.1.2. JPC は、新たなデータ保護体制を段階的に実施することを推奨し、法案の全ての条項を告示から 24 カ月以内に実施することを提案しています。また、インドデータ保護局(=DPA)については、 6 ヶ月以内に活動を開始するよう提言しています。 3.1.3. また、JPC は、法律の適用範囲を拡大し、個人データだけでなく、匿名化された個人データを含む 非個人データの規制を新たな法案に含めるよう勧告しています。DPA には、個人データと非個人デ ータの両方を取り扱う権限が与えられます。 3.1.4. JPC は、中央政府が全分野の規制当局と協議の上、データのローカリゼーションに関する包括的な 政策を策定するよう、勧告しています。また、現在外国企業で利用可能な全てのデータのミラーコ ピーをインドに持ち帰ることを義務付けるべきである、とも提言しています。 3.1.5. JPC は、IoT やその他の類似デバイスを通じてデータを収集するメーカーを DPA が規制すべきであ る、と提言しています。また、データのプライバシーと保護に関する完全性を確保するため、全て のデジタル機器および IoT 機器についての適切なプライバシーの認証プロセスを推奨しています。 3.1.6. JPC は、データ違反の報告に関する規範の明確化のため、データ違反を DPA に報告するための期間 を 72 時間とすることを提案しています。データ違反が発生した場合、DPA はデータ受託者に報告 し、ウェブサイトに詳細を掲載するよう指示することもできます。 3.1.7. その他、ソーシャルメディア・プラットフォームはより高度なコンプライアンスの対象となること、 データ保護責任者の任命を明確にすること、国境を越えたデータ転送に対する承認を追加すること、 DPA 任命のための選考委員会に技術・法律の専門家をより多く参加させること、等が提言されてい ます。 3.1.8. Please click here to read the Report. 4. 消費者保護法(CONSUMER PROTECTION LAW) 2021 年 12 月の消費者保護法関連の主なアップデートは、次の通りです。 4.1. Introduction of the Consumer Protection (Direct Selling) Rules, 2021 4.1.1. 2021年12月28日、中央政府は、2019年消費者保護法の下付与されている権限を行使する形で、 2021 年消費者保護(直接販売)規則に関する通知を行いました。当該規則は、ダイレクトセリン acuitylaw.co.in グによって売買される全ての商品・サービス、モデル、インドの消費者に商品・サービスを提供す る全てのダイレクトセリング事業者、ダイレクトセリングの全てのモデルにおけるあらゆる形態の 不公正な取引方法に対して適用されます。 4.1.2. 既存のダイレクトセリング事業者は、本規則の公示日から 90 日以内に本規則を遵守する必要があ ります。 4.1.3. ダイレクトセリング事業者が遵守しなければならない主な条項は、以下の通りです。 a) ねずみ講の推進や金銭循環スキームへの関与の禁止 -ダイレクトセリング事業者は、本規則 を遵守し、ねずみ講や金銭循環スキームに関与していない旨の自己宣言をしなければならな い。 b) ダイレクトセリング事業者は、適切な苦情処理のメカニズムを確立し、商品またはサービス の真正性に関連するいかなる行為においても責任を負わなければならない。 c) ダイレクトセリング事業者は、消費者保護法および関連規則の規定を確実に遵守する責任を 負う代表者を任命しなければならない。ダイレクトセリング事業者は、見込み客に同様の購 入について紹介を行うことにより、価格の増減が可能であるという表現に基づいて消費者に 購入を勧めることはできない。 d) ダイレクトセリング事業者は、2013 年会社法に基づいて法人化されているか、1932 年パ ートナーシップ法または 2008 年有限責任事業組合法に基づいて登録されており、インド国 内に最低 1 箇所の物理的拠点を有している必要がある。 4.1.4. Please click here for the Press Release and here for the Rules.
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