2020年3月から始まった、「ストリートファイターV(以下、スト5)が快適にプレイできる自作PCをなるべくコスト安で作る」(以下、5万円台スト5PC)という企画だが、コロナ禍を発端にした巣ごもり現象の後押しを受けてか、自作PCやゲームを楽しむ人が増加することとなり、この連載もそこそこ好評だったようだ。
競合他誌においても、対象ゲームタイトルや採用プロセッサを変えただけの、本連載とほとんど同フォーマットの企画をたびたび見かけたので、こちらも開き直って「だったら!」と、バリエーション展開で被せていこうかとも思ったのだが、筆者のスケジュール的な問題でそうもいかず、間が空いてしまった。
そこで、1年ぶりに何をやるかと考えたときに、改めて「5万円台スト5PC企画の2021年版でもやるか」とも思ったのだが、「それもワンパターンか」と思い直し、今回は違うテーマをお届けすることにした。
2021年は2021年で、半導体不足、GPU不足、HDD不足(ストレージデバイス不足)などがあったりして、「5万円台しばり」はなかなか面白そうなので、折を見てやっても良いとは思うのだが、今回は「スト5を楽しむ」という側面にスポットを当てることとした。
といっても、ゲーム自体の攻略のような話ではなく、「PCでスト5をプレイする際に使えるゲームコントローラー」という話をしようかと思う。
筆者が所有するアケコンコレクション(のごく一部)“そもそも論”的な疑問として「なぜ、家庭用ゲーム機でもプレイできるようなスト5を、わざわざPCでプレイするのか」というものがある。
確かにPCゲーミングという“楽しみ”が日本でも浸透しつつあるとはいっても、ブラウザ系のゲームや、キーボード/マウスでプレイする戦略系ゲームなど、「PCならではのゲーム」の方が認知度が高い。
スト5のような「家庭用ゲーム機で遊べるゲーム」をわざわざPC版でプレイする理由が、一般PCユーザー、一般ゲームファンに理解しにくいというのは納得できる疑問である。
このあたりの疑問に対するひとまずの解答は、この連載の初回でも、軽く触れているが、「新しい理由」も浮上してきたので、今回も軽く触れておこう。
1つは、最近は人気タイトルや大作タイトルが家庭用ゲーム機だけでなく、PC向けにもリリースされるようになってきており、PC用があれば最新タイトルの多くはプレイできるようになっていることだ。
PCでプレイできないゲームといえば、その家庭用ゲーム機の専用タイトルとしてリリースされるファーストパーティー製ゲームが挙げられるが、逆にサードパーティー製ゲームの多くは、最近ではPC版が提供されることがほとんどだ。PlayStation 5やXbox Series X|Sなどの新世代家庭用ゲーム機の入手性がいまだ芳しくないことから、ファーストパーティー製ゲームにこだわらなければ、新作ゲームをプレイする環境として、PCは家庭用ゲーム機に引けを取らなくなってきている。
また、「Detroit Becaome Human」や「Horizon Zero Dawn」のような、ファーストパーティー製のPlayStation(以下、PS)専用ゲームタイトルも、最近は発売から数年経ってPC版が提供されるようになってきているし、先日も「アンチャーテッド: Legacy of Thieves Collection」が2022年初頭に発売されることがソニーからアナウンスされたばかりだ。
マイクロソフトのXboxプラットフォームにおいては、Xbox版、Windows PC版のどちらかをMicrosoft Storeで購入すれば、両プラットフォーム版を入手したことになる「Xbox Play Anywhereプログラム」が展開中のため、「ゲームをプレイしたい」という欲求に対して、PCゲーミング環境は、不満のないレベルで応えてくれるようになっている。
ソニーのファーストパーティーが制作したPlayStationプラットフォーム専用ゲームの著名タイトル群が、続々とPCに移植されるようになってきた。クアンティック・ドリームのアクションアドベンチャーゲーム「Detroit Becaome Human」©2021 Quantic Dream. Quantic Dream and the Quantic Dream logo are trademarks of Quantic Dreamこちらは「アンチャーテッド: Legacy of Thieves Collection」©Sony Interactive Entertainment LLC. Uncharted is a registered trademark of Sony Interactive Entertainment LLC and related companies in the U. S. and other countries.そして、家庭用ゲーム機とPC向の両方にリリースされた場合、そのPC移植版は、グラフィックスに関しては、家庭用ゲーム機版よりも高品質な表現に対応しているものが最近は多くなってきた。
具体的には、より高度な材質(陰影)表現、より高い解像度、アスペクト比21:9や32:9などのウルトラワイド画面、レイトレーシングの適用範囲拡大などが挙げられる。こうした配慮は、ユーザーごとにPCのスペック環境が異なるため、結局、PCへの移植の際に、グラフィックス表現に関して幅を持たせる必要が出てきてしまうことが起点となっている。
グラフィックス表現に関して、家庭用ゲーム機のGPU性能におよばないPC環境と、逆にはるかに上回るPC環境に幅広く対応させたことで、結果として、家庭用ゲーム機版の上位表現にまで達してしまう事例が多いのだ。
2つ目の理由は、スト5などの競技性が高いゲームに関わり合いが強いものとなる。それは、家庭用ゲーム機よりもPCゲーミング環境の方が、高いフレームレートに対応していたり、あるいは固定60fpsのゲームでも、高リフレッシュレートのディスプレイと組み合わせることで、より低遅延の環境でプレイできたりしてしまうというものだ。
このあたりの話題は、話すと長くなるので、回を改めようと思う。要約すると、例えグラフィックス表現を家庭用ゲーム機版と同等にそろえたとしても「PCゲーミング環境の方がフレームレートが高く安定する」「PCゲーミング環境の方が低遅延となる」といったことになりやすく、PCゲーミング環境の方が良好なプレイフィールを得られるということだ(もちろんPCゲーミング環境のスペックの善し悪しに依存した話ではある)。
実際、eスポーツの競技ゲームシーンでは、上級プレイヤーやプロゲーマーを中心に、PC版に移行する動きが見られるようになってきている。筆者もよくプレイしているスト5の競技シーンでも同様で、著名プロゲーマーのPC版への移行は活発化を増している。
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