さて、今回、「ASUSのビジネス向けPC」の例として紹介するのは、スタイリッシュさが人気のノートPC、ZenBookシリーズの13.3インチ液晶モデル「ZenBook 13 UX333FA」だ。
同名の個人向けモデルをベースにした製品で、前述のようにWindows 10 Proを搭載、保証も3年ついている。
それでは、このPCの「ビジネス向け」としての魅力を順次紹介していきたい。
「ZenBook 13 UX333FA」はメタルボディの13インチクラスノートPC真っ先に目を引くのはそのデザインだ。全体にメタル素材が用いられた深いブルーの重厚感ある見た目と、天板に施されたスピンメタル仕上げが個性を主張している。
7~8年前はおろか、最近のビジネス向けノートPCでもあまり見かけないタイプだが、派手すぎることはなく、目にした人の所有欲をそそるデザインといえるだろう。
天板に施されたスピンメタル仕上げが美しい差し色のゴールドも、やんちゃに見えないギリギリのところで所有感のあるテイストだ「薄いノートPC」というのは昨今、当たり前になってきたが、それに加えて「堅牢さ」を備えるのがこのモデルの特長だ。
サイズについていうと、16.9mmという薄さ、302mmという幅は最近の13インチノートPCでは標準的だが、奥行は189mmで、一般的な13インチノートPCよりもひと回りコンパクト。同じ13インチで比べると、7~8年前の「Ultrabook」よりも薄いし、縦横のサイズも小さくなっており、ビジネスバッグに入れるときも余裕がある。重量も1.16kgと、古いノートPCではありえない数値で、しかも“細長い”せいか、その数値以上に持ち運びや取り回しのしやすさを感じる。
奥行が短く、取り回しがしやすいしかもこのサイズで、米国防総省の物資調達基準に用いられているMIL規格に準拠する耐久性を備える。
衝撃や加圧、高温・高湿度などに耐えることができ、例えば混雑した通勤電車のように、バッグの中に入れたZenBook 13に不意に荷重が加わるような状況でも心配ない。専用スリーブも付属するので、収納時のすり傷も防止してくれるだろう。
このあたりの耐久性も、かつてのノートPCにはなかった要素。「長く使いたい」という向きには重要なポイントといえるだろう。
専用スリーブが付属。バッグの中でこすれて傷がつくこともないディスプレイはフルHD解像度(1920×1080ドット)で、sRGBの色空間を100%カバーする高発色タイプ。
7~8年前だとHD解像度(1366×768ドット)のモデルも多く、ビジネス向けでは「発色」をウリとするモデルもほぼ無かった。デスクトップの作業スペースが広くなり、また、カラフルなビジネス資料や写真を実物に近い色で再現できる。印刷物を扱うような仕事はもちろん、事務作業などでも気持ちの点で「アゲてくれる」ポイントといえるだろう。
発色の美しい、sRGBを100%カバーする液晶ディスプレイちなみに底面にステレオスピーカーが設けられている。harman/kardonによるチューニングが施された高品質サウンドを再生可能また、個人向けモデルではバリエーションは2色のカラー違いのみだったが、法人向けではカラーがロイヤルブルー1色のみとなる代わりに、CPUとストレージ容量の違いで2モデルが用意される。一方はIntel Core i5-8265Uと512GB SSDを備えたハイパフォーマンスモデル。もう一方はIntel Core i3-8145Uと256GB SSDを備えたモデルで、メモリ容量はいずれも8GBとなる。
Office文書の編集やちょっとした画像処理が中心になるビジネス用途では、どちらかというとCPUパワーよりストレージ容量の方が気になるところだろう。テキストベースの軽い処理がメインだったり、クラウドサービスをフル活用するような使い方であればCore i3/256GBの下位モデルを、比較的容量の大きいデータを扱う業務についている人や、ストレージ不足の心配なしに長く使いたい人はCore i5/512GBの上位モデルを、という選び方がよさそうだ。
テキスト編集のような軽い処理メインで、ときどき軽く画像編集するくらいならコストも抑えられる下位モデルでも十分スペックの話が出たところで、試しに「最近のPC」の速度感を紹介してみたい。
紹介するのは、Windowsの起動時間とMicrosoft Office(Word)の起動時間だ。まず、Windowsの起動時間は、スイッチONからログオン画面が表示されるまでがわずか5秒、デスクトップが表示されたのはその7秒後、トータルで12秒しかかからなかった。また、Wordの起動時間はたったの4.5秒だ。
Core i5/512GBのモデルでの実行結果なので、Core i3/256GBモデルでは微妙に異なる可能性もあるが、例えば7~8年前のPCと比べた場合の違いは明白。7~8年前の一般的なノートPC(Windows 7+HDD機)では、デスクトップ表示までで1分~1分30分、Wordの起動も20~30秒かかっていたはずだ。こうした「速度差」は、そのほかの場面でも出てくるわけで、その「スムースさの違い」がまさに最近のPCのポイントといえるだろう。
また、ビジネス用途としては気になるインターフェース類の充実度にも注目したい。USBは、現時点で最新・最速となるUSB 3.1 Gen.2のType-CとType-Aのポートを1つずつ備える。転送速度は最大10Gbpsで、高速な外付けストレージを使えばデータのやり取りも短時間で終えられる。
「CrystalDiskmark 6.0.2」で、USB 3.1 Gen.2の外付けSSD(NVMe M.2)のアクセス速度を計測してみると、シーケンシャルリードは943MB/s、シーケンシャルライトは大台の1GB/sを超える速度を叩き出した。USB 2.0ポート(480Mbps)が主流だった7~8年前のPCでは考えられないスピードだ。
会議室などにある外部モニターに直接映像出力できるHDMIポートと、スマートフォンなどとのデータのやりとりに活躍するmicroSDスロットも備える。
左側面に並ぶUSB 3.1 Gen.2 Type-CポートとType-Aポート。HDMI出力も高速な外付けストレージで、バックアップは短時間で完了する「CrystalDiskmark 6.0.2」のベンチマーク結果。シーケンシャルリード・ライトは約1GB/sという驚異の速度右側面にはmicroSDカードスロットなど。こちらのUSBポートは2.0となる無線LANはIEEE 802.11acに対応している。
無線LAN環境は7~8年前から大きく変わった。5GHz帯の電波を使うIEEE 802.11acの登場と普及だ。
それ以前のノートPCは、IEEE 802.11nで2.4GHz帯の電波を使うのが標準的だったが、2.4GHz帯はもはや「電波混雑で通信速度が遅い」という評価が定着している。最新ノートPCの快適さは、CPUやSSDだけではなく、こんなところも影響しているというわけだ。
単なるWebブラウズや動画視聴はもちろん、クラウドの利用も間違いなく快適だ。
なお、かなりの薄型になった最近のPCは有線LANを備えない製品も多いが、この製品では、標準でギガビット対応の有線LANアダプターが付属する。「初期設定時や何かあった時に有線LANが欲しい」というのは、時折聞く話ではある。高価なものではないが「同梱品がある」というのはサポート上、安心できるポイントだろう。
有線LANアダプターが付属。無線LANが使えない環境でも大丈夫こうした強力なスペックを持つUX333FAだが、バッテリーは公称でほぼ15時間も持つとされる。
具体的にはCore i5モデルが約14.8時間、Core i3モデルが約14.9時間。これはもう、ほとんど丸1日使い続けられると断言してもいいだろう。
7~8年前のノートPCのバッテリー駆動時間は長くても5~6時間だったが、最新のZenBook 13ならその3倍近くというわけだ。
昨今の働き方改革でオフィス以外で仕事をする人も増えていると思うが、この製品なら出先で電源がなくても余裕をもって仕事ができるはず。ACアダプターを忘れても不安に思うこともなさそうだ。
また、この製品の独特な特徴といえるのが、高機能なタッチパッドだ。
滑りの良い素材で引っかかりなく操作できるこのタッチパッドは、実は右上のアイコンを1秒間押し続けるとテンキーとして機能する。
ASUSが「NumberPad」としてアピールしているこの機能は、タッチパッドにテンキーや記号が浮き出て、それらをタッチするだけで、数字や記号が打てるというもの。
滑りのよいタッチパッド右上のアイコンを1秒間押すと「NumberPad」に変身する13インチクラスのノートPCでは、テンキーが省略されるのが一般的。「持ち運びを考えると13インチ級が欲しいものの、仕事上、テンキーは欲しい」という人は多かったと思うが、この製品ではそれが解決されている、というわけだ。
電卓や文字入力する場面で「NumberPad」から直接数字入力可能にまた、「仕事向けPC」として地味だが重要なのがキーボード。
これについては、ディスプレイ部を開くと、自然にキーボード奥が持ち上がる「エルゴリフトヒンジ」という構造を採用しており、タイピングしやすい角度にキーボードを保持してくれる。そして、実際にキータイプしてみるとすぐに気付くのが、その静かさだ。
雑に押下しても耳ざわりな音は出ず、周囲にも全く響かない。シェアオフィスやコワーキングスペースのように気を使いがちな場所でも、気兼ねなく打ち込めるわけだ。このあたりは現行の他のノートPCでもあまりない、ZenBook 13ならではの特徴と言える。
開くと自然とキーボードの奥側がわずかに持ち上がる「エルゴリフトヒンジ」を採用静音キーボードを搭載タイピングの音が全く気にならず、コワーキングスペースでも周囲に迷惑をかけることがない生体認証機能のWindows Helloに対応する赤外線カメラを搭載しているのもポイントだ。これにより、Windowsのログオンを顔認証で行えるようになり、「ZenBook 13の前に座るだけ」でPCを使い始めることが可能になる。
これまでは絶対に必要だったパスワード入力の手間を不要にする顔認証は、「効率よく、気持ちよく仕事する」という点で、ビジネスPCにあったら欲しい機能の1つといえるだろう。
Windows Helloに対応する赤外線カメラを搭載し、顔認証でログオンできる最後のポイントといえるのが、「OSがWindows 10 Proであること」。
これは、個人向けモデルから変更されている点で、ActiveDirectory(ドメイン)やグループポリシー、高度なセキュリティ機能などを利用することが可能になる。これまでは「Windows 10 Homeモデルを買って、アップグレードしていた」という人や、そのコスト高を避けて諦めていた人も多いと思うが、ついに「最初からWindows 10 Pro」で購入できるようになったというわけだ。
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