PCゲームをSwitchライクにプレイできる!
Valveから、PCゲームを小さな端末でプレイできるSteam Deckが海外で発売されました。米GizmodoのPhillip Tracy記者が一足先に数週間使ってレビューしてますので、どうぞ! 日本にくるときはさらに完成度を増しているといいですね。
モバイルゲームの世界に革命を起こすようなデバイスをレビューする機会ってそうそうありません。でも今、PCゲーマーの夢からそのまま出てきたような、専用コンソールが誕生しました。ニンテンドースイッチと同じような作りのポータブルデバイスでありながら、PCゲームをプレイできるんです。
何で今?と思う人もいるかもしれません。ゲーミングPCをモバイル端末に詰め込む技術が今までなかったことも、その理由のひとつです。でも僕はこのSteam Deckで何十時間かプレイして見た結果、必要な技術がついにそろったんだと大体確信しました。パワフルかつ効率の高いAMDのチップを超高速のRAMと組み合わせることで、Steam Deckは性能と熱、バッテリーライフの微妙なバランスを取り、妥協は最小限に抑えつつ、満足行くゲーミング体験を実現したのです。
しかもSteam Deckは単なるコンソールじゃありません。それはデスクトップモードを備えたコンピューターで、Web閲覧や音楽ストリーミング、動画視聴も可能です。さまざまな入力方法に対応し、TVやモニターにも接続でき、そこに置くことで据置型ゲーム機になるようなドックもこれから用意されます。
Steam Deckを数週間使ってみましたが、まだまだそのポテンシャルの一部しか引き出せてない感じがします。今はそのポテンシャルの多くが手つかずのまま残っています。みんなの好きなゲームのほとんどはまだきちんと(またはまったく)動かないし、ソフトウェアには工事中の部分がたくさんあります。それでも、ほとんど台無しになるような問題がありつつ、Valveは間違いなく偉業を成し遂げました。僕自身かつては懐疑的だったのに、もはや信者になったくらいなんです。
Valve Steam Deck
これは何?:SteamのゲームをプレイできるモバイルPCゲーム機
価格:ストレージ64GBのeMMCが399ドル(約4万6000円)、256GBのSSDが529ドル(約6万1000円)、512GBのSSDが649ドル(約7万5000円)。
好きなところ:動作確認されたゲームが数百本ある、ほとんどのゲームがミディアム設定(720p)で30fpsでプレイできる、きれいなディスプレイ、デスクトップモードがあってPCとして使える、拡張可能なストレージ、修理しやすい、(ほとんどの)ボタンが押しやすい。
好きじゃないところ:ローンチ時には人気タイトルがほとんどプレイできない、ソフトウェアのバグ、バッテリーライフ短い、ちょっと重い、温かくなる、動作音がうるさいときがある。
書くことがありすぎますが、まず基本から押さえましょう。Steam DeckはSteamのゲームがプレイできる、7.0インチのモバイルゲーム機です。AMDのチップを搭載してて、Proton互換レイヤーを使うことで、WindowsゲームをLinux上で動かしてます。OSはArch LinuxベースのSteam OS 3.0で、Arch Linuxベースであることでより頻繁なアップデートが可能になっています。
ゲームがネイティブで動くので、Steam Deckはオフラインでも使えます。5GとかLTE対応バージョンを作る予定はないとのことなので、外出先でオンラインゲームする場合、何らかのモバイルホットスポットが必要。ネットにつながるとSteam Deckは進行中のゲームをクラウドに保存して、PCなど他のSteamデバイスへの移行を可能にします。ニンテンドースイッチと同じように、据置型ゲーム機みたいに変身させられる公式ドックもこの春後半に出る予定です。ドックがなくても、HDMI出力のあるUSB-Cドックを使えば同じことができます(詳細は後段で)。
公式ドックには、外部ディスプレイ(TVやモニター)や周辺機器(マウスやキーボード)、イーサネットにつなげるためのポートがあります。またはSteam Linkを使えば、Steam DeckをスマホやタブレットやTVにワイヤレスにつないで、ゲームプレイをストリームすることもできます。
あとはデスクトップのUIを備えた、完全にLinuxなマシンとして使うこともできます。というかSteam Deckとは、コンピューターの心がポータブルゲーム機の体に入ったものだと言ってもいいです。デスクトップモードでは、Steam DeckでWeb閲覧したり、Steam以外のゲームをしたり、アプリを動かしたりもできます。
Steam Deckにはいくつかバージョンがあります。一番安いのは399ドル(約4万6000円)で、64GBのeMMCストレージ搭載です。Valveが提供してくれたレビュー機は真ん中の529ドル(約6万1000円)のもので、256GBのNVMe SSDが入ってます。一番高いのが649ドル(約7万5000円)、512GBのNVMe SSD搭載モデルです。どのモデルにもSDXC互換のmicroSDカードスロットがあるので、ストレージは拡張できます。あとは技術的にはSSDの交換も可能ですが、よっぽど詳しい人じゃない限り、Valveとしてお勧めはしてないです。
ゲームはSteam Deckに直接ダウンロードされるので、64GBモデルだと心もとないかもしれません。64GBモデルのeMMCは、256GB・512GBのNVMeよりデータ転送速度も遅いです。でもゲームの容量がけっこう大きいので、どっちにしてもSDカードを買わざるをえなくなります。多くのメジャーなゲーム、たとえば『God of War』(64.5GB)、『NBA 2K22』(115GB)、『Hirman III』(60GB)なんかは、ストレージに他のゲームを入れてなくてもプレイできません。僕は256GBモデルを借りてましたが、それでもストレージ容量がすぐいっぱいになって、新しいゲームをプレイするために前に入れたものをアンインストールしなきゃいけませんでした。SDカードにゲームを入れてプレイする場合(そのほうが安上がりです)、パフォーマンスを考えて、速度の速いものを選ぶようにしましょう。
Steam Deckがいかにも第一世代のプロダクトにならないように、Valveはすごく時間をかけたのがわかります。その目標はしっかり達成できてますが、もうちょっとがんばってほしい面もいくつかあります。
まず一番明らかなのは、その巨大なサイズです。Steam Deckを手にすると、車のハンドルを9時と3時の部分で握ってるような感じがしました。つまり、横にでかいんです。形はニンテンドースイッチに似てても実際のサイズはずっと大きくて、12.4インチのGalaxy Tab S8+とほぼ同じ幅がありました。
重さも1.47ポンド(約669g)と重めですが、全体的にうまく配分されてるので、手の中でバランスが取れてる感じがします。このサイズだと、何時間も持ってプレイするのは前腕のトレーニングになりそうです。それ以外では、人間工学的にはほぼうまく出来てると思います。
初めてSteam Deckを持ったとき、手のひらはコントローラーの形にすぐなじみ、親指は左右対称のアナログスティックに本能的に収まりました。ほとんどのボタンには(ボタンたくさんあります)楽に指が届きますが、いくつか無理のあるボタンもあります。バンパーボタン(R1、L1)を押すには人差し指を無理に自分に向けて伸ばす必要があり、Yボタンを押すには親指を伸ばしきらなきゃいけませんでした。あとはスティックもあと数ミリ低いほうが親指を大きく動かせて、操作の精度を高められると思います。でも僕は手の大きさが平均的なので、ちょっと指をずらせばまあいいかって程度だったんですが、手が小さい人はもっと大変だと思います。
その大きさはしっかり活用されてもいて、いろんなボタンやキーがこれでもかとてんこ盛りです。アナログスティックにABXYボタン、SteamOSメニューを呼ぶSteamボタン、クイックアクセスボタン、十字キー、ゲーム内のメニューボタン、ビューボタン、があります。スティックの下にはトラックパッドがデュアルであり、マウス的に使えます。上にはバンパーボタンとトリガー、音量コントロール、USB-Cポート、電源ボタンです。背面のトリガーはさらに4つ(左右の4と5)があり、SCUFとかXbox Eliteのコントローラーみたいになってます。
使い心地はというと、良いとこと悪いとこがあります。フルサイズのアナログスティックは反応が良く、若干凹んだ形と縁のテクスチャーが相まって、うっかり滑るのを防いでます。トリガーボタンは良い具合の傾斜が付いて、ショルダーボタンはXboxのそれよりベターですが、DualSenseのものほどのクリック感はありません。ABXYボタン、十字キー、背面のトリガーはたいていのコントローラーと同じで、とくに問題なしです。気にかかるのは、Steamボタンとクイックアクセスボタンです。けっこうひどいです。すごく浅くて押しにくく、これがどうしてValveの中のテストを通過できたのかわかりません。さいわい、ゲーム中には使わないボタンです。
このコントローラーの一番変わっててすごいところは、アナログスティックとトラックパッドに容量静電式タッチセンサーが入ってることです。これらのパーツで皮膚を検知すると、ジャイロコントロールが有効になって、傾きでエイムを微妙に調整できるんです。
って、すごそうだし実際一応言われた通り機能するんですが、本体が大きくて動かしにくいし、あんまり使う気がしません。タッチパッドが便利だったのはデスクトップモードでマウスを使うゲーム、たとえば『Planet Coaster』をプレイしてるときでした。タッチパッドに慣れてきても結局、『Cuphead』ではアナログスティックのときと同じくらいのペースで(しょっちゅう)死んでました。
DIYも好きな人は、Valveの修理しやすさ重視のアプローチも評価すると思います。まずValveは、ユーザーに対し交換パーツを販売してくれます。交換パーツ販売業者として最初に承認されたiFixitは、Steam Deckを分解し、サムスティックとSSDはネジをいくつか外すだけで簡単に交換できると判定しました。修理する権利にとって、つまりユーザーにとって、また一歩前進です。
Steam Deckでのコントロールが気に入らないときは、Bluetoothでマウスや他のコントローラーと接続も可能です。PS5のDualSenseコントローラーとペアリングするのは簡単で、入力への反応も早かったです。でも一部、『God of War』みたいなゲームでは全然プレイできませんでしたが、『Portal 2』みたいなゲームは、PS3の共同プレイで寝不足になった学生時代を再現できました。
画面は7.0インチ、1280 x 800のIPSディスプレイで、リフレッシュレートは60Hzです。このサイズの画面なら問題ないスペックで、実際の見栄えにも良い意味で驚きました。ニンテンドースイッチ有機ELモデルみたいに鮮やかじゃないですが、色は正確で、400ニトのピーク輝度も明るい照明の下で十分です。ただ、画面が反射するタイプなのでそこは注意です。スピーカーの音質はかなり良く、音量も十分、負荷があがってファンの音が大きくなってもちゃんと聞こえてました。
ビルドクオリティに関しても触れておきますね。Steam Deckは全体がプラスチックですが、それでも頑丈な印象を受けます。タイトで、筐体にはホコリがたまるようなすき間もなく、全体的にきれいにそろってます。サイズと下2つのボタンを無視すれば、Steam Deckはこの手のもので最初のプロダクトには感じられません。少なくとも、ハードウェアに関しては。
Steam DeckのOSはLinuxベースのSteamOS 3.0をアレンジしたもので、Windowsのゲームを動かすためにProtonという互換レイヤーを入れてます。Steamでプレイしてるお気に入りゲームをどれでもそのまま持ってこられると期待してる人には残念なお知らせですが、各ゲームをSteam Deckで動かすためには、Steam Deck向けの最適化とテストが必要です。その作業を今Valveがデベロッパーと一緒にやってるところで、しばらく時間がかかります。
非公式情報ですが、SteamDBではSteam Deck互換でプレイできるゲームのリストが見られて、それによると今確認済みのものが記事翻訳時点で500本以上あり、未確認だけどプレイできるものも400本以上あるようです。膨大なSteamのゲームの中ではまだまだひと握りではありますが、数百件もあるってことは、モバイルゲーム機のローンチタイトル数としては最大です。とはいえ、みなさんの好きなゲームの一部(またはたくさん)はまだサポートされてません。
実際プレイするゲームのうちどれくらいがSteam Deckでもプレイできるのか感覚的に見るために、他のゲーマーの話も聞いてみました。KotakuのLuke Plunkett記者は、Steamライブラリにゲームを810本(!)持ってるんですが、Steam Deckで完全に動くことが保証されてるのはそのうち59本しかないそうです。また66本は一応動くのだけど「操作や設定するには追加の作業が必要」で、632本はまだテストしてなくて、残る23本は絶対にプレイできないことがわかってるとのこと。
僕がやってみた感じでは、すぐに試したいと思ったゲームのほとんどは、たとえば『Halo Infinite』『Forza Horizon 5』『Far Cry 5』『FIFA 22』『Battlefield 2042』は未確認でした。でもとりあえずダウンロードはしたんですが、残念ながらどれも起動すらしませんでした。なので当面、ダウンロードするのはValveが確認したものだけにしておいたほうがよさそうです。確認済みなのは、メジャーどころでは『NBA 2K22』『Hitman III』『Cuphead』『Portal 2』『Dark Souls III』『God of War』、インディーズ系では『Stardew Valley』『Grapple Dog』『Loop Odyssey』といった感じ。軽く味わうには十分ですが、もっとメインストリームになるには、もっと新しくてメジャーなゲームが必要です。ありがたいことに、新しいゲームはどんどん追加されてて、『Elden Ring』も入ってきたところです。
上にもちょっと書きましたが、ValveはゲームをSteam Deckへの対応状況に応じて4カテゴリに分けてます。ライブラリやストアで緑のチェックマークで表示されるものは「確認済み」、つまりSteam Deck上でもPC上と同じようにプレイできるものです。次に「プレイ可能」なものには黄色の注意アイコンが付いてて、これは「動くことは動くけど、問題あり」なもので、何が問題なのかはゲームの詳細情報のところに書かれてます。あとは「非対応」、そのほとんどがVRのタイトルです。最後に一番多いのが「不明」です。さいわいValveは、ユーザーのSteamライブラリにあるどのゲームがSteam Deckでプレイできるかすぐにわかるツールも提供してくれてます。
Zen 2 CPU(4コア・8スレッド)とRDNA 2 GPUを載せたAMDのAPUと、15GBの高速DDR5のRAMのおかげで、Steam Deckでの動作が確認されたゲームはだいたいスムースに動きます。グラフィックス性能をざっくり言うと、Steam Deckの処理能力は1.6TFlopsで、前世代のコンソールであるXbox One S(1.4TFlops)とPS4(1.8TFlops)の中間くらいにあたります。
僕は1ダースくらいのゲームをプレイしてみましたが、フレームレートが下がったのはほんの数回しかありませんでした。グラフィックス設定を調整すれば、ゲームプレイに支障をきたすこともなしです。
たとえば『Control』では、最初は30fps前後でスムースにプレイしてたんですが、敵がいっぱい出てくるとラグが出始めました。解像度を1280 x 800から720pに落とすとフレームレートが20fps台半ばから30fps以上に戻り、激しい戦闘シーンでは助かりました。『Portal 2』『Cuphead』など、僕がプレイしたほとんどのゲームでは720pでグラフィックス設定をミディアムにすればフレームレートは60fpsが出せましたが、もっと負荷の高い『God of War』では30fpsを超えるのがやっとでした。
ただ、どんなゲーム機でもそうですが、扱いは慎重にしましょう。いっぺんにたくさんのゲームを動かすとSteam Deckのキャパを超えてしまいます。僕自身やったんですが、『God of War』をプレイしてる裏で『Control』を立ち上げっぱなしにしてたら、まず前者がクラッシュし、あわてて後者を閉じようとしたら、システム全体が落ちました。Steam Deckを再起動しなきゃいけなかったのはこれが初めてじゃありませんでしたが、だいたい問題が起こるのは、ソフトウェアを立ち上げっぱなしにしてるときでした。
ValveはSteam Deckがユーザーの手に渡る前にソフトウェアのバグを直し、機能を追加し、パフォーマンスを向上させるべく突貫工事中です。今まで何週間もアップデートがどんどん出てきましたが、まだ全体的に未完成です。でも、方向性は間違ってません。SteamOSのインターフェースは、アイコンが大きくメニューはシンプルで、簡単に操作できます。Steamボタンとクイックアクセスボタンの押し心地はひどいですが、これらのおかげでWi-FiやBluetoothデバイスとの接続、ナイトモードの切り替えはPCよりも簡単なくらいです。
Steamのデスクトップランチャーを使ったことのある人は、Steam Deckに入ってるSteamOSに既視感を感じるかもしれません。ホームページのトップに一番最近プレイしたゲームが表示され、その下には「What's New」「Friends」「Recommended」タブがあります。一番上には検索バーと、Wi-Fi・バッテリーライフ、プロフィールのアイコン。Steamボタンかバックボタンを押すと画面左にメニューが出てきて、そこにライブラリやSteamストア、メディア(スクショや動画キャプチャ)、ダウンロード、Friends & Chat、設定、電源のタブがあります。
Valveはまだ細かいところをいじってますが、全体的なレイアウトは良い感じにできてます。アイコンは大きくてユーザーフレンドリー、アニメーションは滑らか、OSの効果音も楽しいです。じつはSteamOS 3.0は、わりと最近まで全然ぐだぐだで、最近の修正でだいぶ変わったんです。僕が良いと思うのは、「現在プレイ中」のタブで、そこからサッとゲームを再開したり、やめたりできます。もうひとつすごく必要な機能は、Steam Deckでプレイできる確認済みゲームだけを購入できる手段ですが、ストアにはそれが追加されました。まだまだ細部は粗くて、それは後述しますが、大きな問題はだいたい解決されました。
Steam DeckのコアはPCなので、デスクトップモードがあります。このモードではFirefoxを開いてWebを閲覧し、アプリをダウンロードし、Steamじゃないゲームをインストールし、マウスやキーボードやモニターを接続して普通のコンピューターとして使えます。
これ、ほんとすごいです。ChromeでGizmodo.comを読むのも、Spotifyで音楽を聞くのも、というかLibreOfficeでこの記事を書くのも、全部Steam Deckでできました。なんだか変な感じでしたが、でもタッチパッドとBluetoothキーボード(オンスクリーンキーボードは悲惨で、Valveは直すって言ってます)があれば、なんだかできてしまったんです。
かといって、ソフトウェアに問題がなかったわけじゃない、というか、たくさんあります。何回強制終了したかわからないくらいです。当初はもっとぶつ切りのインターフェース、性能不足、機能不足でボロボロだっただけに、今も一部の問題が残ってます。幸いアップデートでだいぶ良くなったので、今これを書いているデバイスは、最初に送られてきたのとは別物にすら感じます。
でも本当はSteam Deckの発売自体数週間遅らせてくれれば、僕らみたいなレビュワーとかアーリーアダプターがベータテスターにならずに済んだんじゃないかと思います。一応擁護しておくと、Valveはエンドレスに送ってくるアップデートについて必要な情報は100%公開してくれたし、残ってる問題も解決すると言ってます。
7インチスクリーンじゃ物足りなければ、Steam Deckは外部ディスプレイにつなげられます。やり方はいくつかあって、まず簡単だけどちょっと問題ありなのがSteam Link、これはSteamデバイスとディスプレイの間をワイヤレスストリーミングでつなぐ方法です。Steam Deck上の『Portal 2』は、Steam Linkアプリを介して僕のSony製Google TVに数分内に表示できました。ゲームはフルスクリーンモードで表示され、1280 x 800の解像度は大画面向きじゃないにもかかわらず問題なく見られました。ただレイテンシーには問題があり、数分でゲームをやめたくなりました。
Steam Linkでの接続はエフォートレスでしたが、HDMI出力のあるUSB-Cドックでモニターにつなげる試みは失敗しました。2つのドック、2つのモニターを試しましたが、ダメでした。Valveの説明によると、僕の使ったHPのUSB-C Dock G5みたいなマルチディスプレイ出力のドックはSteam Deckでは未対応だそうですが、今後アップデートで対応するとのこと。ベストな方法は、USB-C SST(Single-stream transport)ドックか、USB-C-to-HDMIケーブルを使うことです。
この春後半にはSteam Deck用の公式ドックが登場し、それは「Steam Deckのスタンドになりつつ、外部ディスプレイや有線ネットワーク、USB周辺機器、電源」につながります。ただニンテンドースイッチのドックと違い、Steam Deckのドックは本体への給電はしないようです。
Steam Deckのバッテリーライフは、Valveによればゲームと設定次第で2〜8時間持つとされてます。だいぶ幅がありますが、僕が試したところでは正確です。いろんなゲームプレイとUI操作では、だいたい4時間くらい持ってました。『God of War 2』みたいなグラフィックスの重いゲームのときは持ち時間がだいぶ減って2時間くらいになり、『Portal 2』みたいな負荷の低いものだと4時間くらいになりました。
Steam Deckの充電はUSB-C経由で行い、ジェネリックな充電アダプターが同梱されてます。GamerNexusの入念なテストによれば、Steam Deckは電源オンでアイドル状態の場合、100分で80%まで充電でき、さらに80分プラスするとフル充電できました。最近のスマホやラップトップと同じく、バッテリーを保護するために、あえて100%にならないようにしてます。
今までPCゲーマーで、移動中とか家のソファでSteamのゲームができるポータブル端末あればなぁ、って思ってた人なら、今の未完成なSteam Deckでも検討する価値があります。動作保証されたゲームは数百本あるし、そのほとんどはグラフィックスがミディアム設定以上でプレイできます。ハードウェアも完ぺきじゃないにしろ、全然ちゃんと使えます。
買うかどうか迷ってる人なら、自分のやってるゲームがSteam Deck用に動作確認されてるかをチェックしてみましょう。プレイしたいゲームがまだテストされてなければ、無理して今すぐ買う必要ありません。今すぐにでも買いたいって人たちがプレオーダーしまくった結果、出荷は今年第2四半期(4〜6月)に予定されていて、そのときになれば必要なアップデートも出て、本来のポテンシャルが発揮できてるはずです。
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