SF作家でコンピューターに精通していたジェリー・パーネル氏が提唱した法則「パーネルの法則」にはこんな一節がある。「コンピューターの問題の90%はケーブルが原因である」――。
この法則が提唱されたのは1990年代。周辺機器をつなぐ当時のケーブルは太く固いものが多く、取り回しづらかった。今となっては「90%」というのはいささかオーバーな印象がある。
しかし忘れかけていたこの法則を思い出させるようなトラブルが発生した。体験したのは元ビッグローブの社長で、エンジニア出身の古関 義幸さん。
昨今の新型コロナウイルスの影響で、自分や家族が自宅からZoomなどのビデオ会議システムを利用する機会が増えた古関さんは、光回線の性能に不満を感じていた。
宅内は光電話ルーターと無線LANルーターから直接配線して、他の部屋から有線でも接続できるようにしていたが、「このときはほとんど無線で接続して使っていました」(古関さん)という。なお無線LANルーターはブリッジとして使用している。
トラブル発生時の宅内ネットワーク構成[画像のクリックで拡大表示]古関さんの自宅の光回線は「ビッグローブ光」を使っていた。NTT東日本の「フレッツ光」を20年近く前から使っていたが、IPv6がだいぶ普及してきたと感じていた古関さんは、数年前にビッグローブ光のIPv6オプションに切り替えていた。しかし上流の回線はそれまでと変わらず100Mビット/秒だった。
NTT東日本のサイトで調べたところ、自宅が1Gビット/秒のサービスエリアに入っていることが分かった。そこで古関さんはISPであるビッグローブに回線を1Gビット/秒に切り替えられるか問い合わせた。ビッグローブ光はISPが光回線を含めてワンストップでサービスを提供する「光コラボレーション」モデルだったからだ。
ギガビット回線のサービスエリアに入っていることに気づく[画像のクリックで拡大表示]ギガビット回線に切り替えられるかISPに確認[画像のクリックで拡大表示]問い合わせてすぐには回答が得られず、1週間くらいしたところでビッグローブから連絡が入った。ビッグローブによると、回線の切り替えは可能で、IPv6に切り替えた時点で機器は1Gビット/秒に対応済みなので宅内の工事は不要。手続きに3000円かかるが、月額利用料などは変わらないとのことだった。
古関さんは「それならばもっと早く切り替えておけばよかった、と思いました」とそのときの心境を語る。さっそく工事の日程などを決めて、回線が強化されるのを心待ちにしていた。
工事当日。工事の日程は「午前8時から正午まで」となっていた。だが古関さんは「工事といっても、実際の作業はNTT東日本の基地局側でソフトウエアの設定を変えるだけ」と考え、実際の作業はすぐに終わると想像していた。だから正午まで待つ必要はないだろうと判断した。
そこで午前9時くらいにインターネット接続を試してみた。しかしそれまでつながっていたはずのインターネットにつながらなくなっていた。
工事日にインターネットに接続できなくなった[画像のクリックで拡大表示]とりあえずこの段階ではまだ作業中であるなど様々な要因が考えられるため、一度様子を見ることにした。1時間ほど経過してから再度試したが、やはりつながらない。そこでビッグローブに問い合わせてみたが、ビッグローブの回答は「工事完了予定の正午までお待ちください」ということだった。
「接続できていなかったものができなくなった、ということは何らかの作業が実施されているわけで、1時間以上かかるような作業でもないから待つ必要はないはず」(古関さん)とは思ったものの、ビッグローブがNTT東日本の作業を関知できないのも仕方がないと考えて工事完了の時刻を待った。
そして正午過ぎになり、やはりインターネットに接続できないことを確認して、再度ビッグローブに連絡。ビッグローブは「調査します」と回答した。
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