神奈川県の取り組み
通信環境の整備
※下記は自治体通信35号(Vol.35・2022年1月号)から抜粋し、記事は取材時のものです。
コロナ禍に見舞われた昨年以降、所管する学校で遠隔授業を急遽実施することになった自治体は多い。そこでは、児童生徒の家庭における通信環境の整備が早急に求められるケースもあった。そうしたなか、神奈川県の県立高校ではWi-Fiルーターをレンタルすることで、通信環境の整備をスピーディに実現した。取り組みの詳細について、同県教育委員会の乾氏に聞いた。
本記事で紹介しているサービス概要資料はこちら[神奈川県] ■人口:923万9,502人(令和3年10月1日現在) ■世帯数:426万2,494世帯(令和3年10月1日現在) ■予算規模:4兆2,452億4,700万円(令和3年度当初)■面積:2,416.11km2■概要:近代に入り、日本と外国を結ぶ窓口や、軍事的に重要な地域となった神奈川県は、戦後も経済発展とともに人口増加が続き、平成18年には大阪府を抜いて都道府県別の人口が2位となった。県の総合計画「かながわグランドデザイン」では、今後の超高齢社会への対応や人口減少社会などに備えるため、SDGsの理念を踏まえたさまざまな政策に取り組んでいる。神奈川県教育委員会教育局 指導部 高校教育課 高校教育企画室 高校教育企画グループ 主任主事乾 浩幸 いぬい ひろゆき―県立高校における授業をめぐり、どういったコロナ対策を行いましたか。
昨年4月に1回目の緊急事態宣言が出された際は、県立の高等学校と中等教育学校において、オンラインを活用して学習を継続しました。同時に、緊急対策として組まれた補正予算でWi-FiルーターとSIMカードを購入。家庭にネットワーク環境が整っていない生徒に学校を介してWi-Fiルーターを貸与し、すべての生徒宅で遠隔授業を受けられる通信環境を整えました。しかし今年9月に、オンライン学習を再実施することが決定した際は、一部の学校でルーターの不足が見込まれました。
―それはなぜでしょう。
昨年は、大手通信キャリアがデータの追加容量を無料にするプランを若年層向けに提供していたのですが、今年はそのプランが提供されませんでした。そのため、生徒に貸与するルーターの数が想定よりも増えてしまったのです。
オンライン学習の再実施が決まったのは、実施の約1週間前でした。そこで、いかに迅速に機器を調達するかが課題となりました。
―どのように対応したのですか。
本県と取引実績のあるAIR-Uに相談しました。その際、「クラウドWi-Fiルーター*1」をレンタル契約できることを知りました。必要台数や使用期間の見通しが立ちにくいなか、コストを抑えて期間を柔軟に設定できるレンタルの提案はありがたいものでしたね。詳細な台数や使用期間は各学校から直接AIR-Uに連絡し、個別に契約する方法を取りました。学校現場からは、納品までの日数が短く、すぐに使用できたため、多くの生徒へいち早く通信環境を提供できたという声が届いています。
また、現場からは、クラウドWi-Fiルーターの使い勝手を高く評価する声もあがりました。
―どういった点が評価されたのでしょう。
端末をインターネットに接続するための「APN*2設定」が不要な点です。電源ボタンを押すだけで、もっともつながりやすい通信キャリアの回線に自動で接続されるのです。一部の通信キャリアがつながりにくい地域でも、スムーズにインターネットを利用できるため、教育環境を平等に整える観点からも評価しています。
―今後の活用方針を聞かせてください。
9月に始めたオンライン学習は幸いにも、想定より早く終了しましたが、今後も感染症や災害などで生徒が登校できなくなるケースは想定できます。そうした事態が万が一発生した場合は、レンタル契約を重要な選択肢として、通信環境の整備に対応していきます。
支援企業の視点
―公立学校における通信環境の整備状況を聞かせてください。
学校内における通信環境の整備は一段落しましたが、コロナ禍に見舞われた昨年以降は、児童や生徒の家庭で通信環境を整備するニーズが急増しています。そのほとんどが感染症対策としての遠隔授業の実施が背景にあり、臨時の通信需要を満たすため、通信機器を調達する際は、契約期間の融通がきくレンタル契約が注目されています。
―レンタルサービスを選ぶ際のポイントはなんですか。
必要となる機器の台数や使用期間など、ニーズの予測が難しいケースでは、柔軟なプラン設計が可能な事業者を選ぶことです。たとえば、通信機器の卸売を手がけている当社では、自治体のニーズに合わせて幅広いプランを独自に設計できます。クラウドWi-Fiルーターの場合、容量制限は月間1~100GBまで、契約期間は最短1ヵ月から提供できます。在庫も潤沢に保有しているため、2~3日という短納期で対応することも可能です。また、自治体ではそれぞれの条例によって調達の際に適用できる契約方式も異なりますが、当社ではこうした個別の事情にあわせて適切なプランを提案することもできます。
―自治体に対する今後の支援方針を聞かせてください。
自治体の通信環境に関する幅広い課題を解決したいですね。当社では、クラウドSIMを搭載したタブレット端末やプリペイドSIMなども取り扱っています。これらの製品の購入やレンタルに関心のある自治体の方は、お気軽にご連絡ください。
磯部 峻彦 (いそべ たかひこ) プロフィール昭和61年、鹿児島県生まれ。平成21年に拓殖大学を卒業後、株式会社USENに入社。その後、株式会社U-NEXTを経て平成29年、株式会社AIR-Uに入社する。令和3年より現職。営業部を統括。株式会社AIR-U設立 | 平成29年1月 |
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資本金 | 3,000万円 |
従業員数 | 11人(令和3年11月1日現在) |
事業内容 | 電気通信事業法にもとづく通信回線利用加入者の募集および利用権の販売促進に関する代理店業務など |
URL | https://air-u.jp/ |
お問い合わせ電話番号 | 03-6277-6692(平日10:00〜19:00) |
お問い合わせメールアドレス | air-all@air-u.jp |
*1:※クラウドWi-Fiルーター:「クラウドSIM」と呼ばれる、複数回線が利用可能なSIMカードを内蔵したWi-Fiルーター
*2:※APN:Access Point Nameの略。携帯電話ネットワークのデータ通信で必要となる接続先を指定する識別子のこと
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