東京2020オリンピックの開会式で日本のゲーム音楽が世界から注目を集めるなど、海外からの「Japanコンテンツ」への注目度がいま改めて高まっています。今回は越境ECと相性が良い「Japanコンテンツ」を紹介します。海外のトレンドを紹介しながら、実際の事例を交え、情報発信の方法や越境ECでの活用方法などを解説します。
世界中のお客様にリーチできる越境ECにおいて、趣味性の高いロングテール商材は需要が高い傾向があるため、エンタメ商品は越境ECと相性が良く、流通に結び付きやすいジャンルです。コロナ禍において世界的にステイホームが求められるなか、海外でも「巣ごもり消費」が伸長しているため、その傾向がますます高まっています。
コンテンツはSNSや動画配信サイトなどを通してリアルタイムに世界へ配信され、ファン同士がボーダレスにつながり、コミュニティ内の熱狂が消費を動かしています。今年はどんな「Japanコンテンツ」が海外から人気を集めたのでしょうか? 本、音楽、グッズのジャンルごとに紹介していきます。
大ヒットした国民的アニメ『鬼滅の刃』が世界でも人気を集めるなど、日本のアニメがさらなる注目を集めたのが、2021年上半期でした。コロナ禍の巣ごもりで配信サービスでの動画視聴が増加し、『鬼滅の刃』をはじめ『進撃の巨人』(34巻)や『呪術廻戦』(0巻)、『東京卍リベンジャーズ』など、アニメの原作コミックスも好調な販売を見せました。
最新刊はもちろん、「鬼滅の刃」全23巻の大人買い、関連商品である文房具やフィギュアとのまとめ買いなど、送料を考慮した越境ECらしい一括購入が目立ちました。
1970年代後半から1980年代にかけて日本で流行した、都会的なサウンドが特徴のポップス楽曲を「シティポップ」と呼びます。このシティポップの人気が国内外で盛り上がっています。リリース当時を知らない海外リスナーや若者の間で、シティポップの持つ洗練された雰囲気が「新しい!」と評価されているようです。
韓国の人気DJがクラブでシティポップを流したのがブームのきっかけとも言われていますが、いまや世界的に流行している一大ジャンルとなっています。アナログレコードなどコレクタブルな商品に音楽ファンの需要も高まりを見せています。Buyeeではシティポップ関連商品の流通量が、前年同期比2.24倍に伸長しました。
2021年上半期は、世界中から熱視線を集めるトレーディングカードの需要が高まり、特典カードが入った限定商品の需要が白熱しました。Buyeeではトレーディングカード関連商品の流通量が前年同期比2.42倍、流通金額に至っては4.51倍に伸長しました。
また、クリエイターによる創作の総合マーケット「BOOTH」では世界的に有名なVTuberのグッズが好調で、アメリカからの注文が殺到しました。中でも、「ホロライブ」所属の「桐生ココ」、英語圏VTuberグループ「ホロライブEnglish」所属の「がうる・ぐら」のグッズが人気で、誕生日を記念したパーカーやアクリルパネルなどが売れました。
VTuberのグッズは海外のリアル店舗での購入が難しいため、日本のコンテンツの希少性との掛け合わせでファンの熱気が生み出されました。
「Japanコンテンツ」は以前から一定の人気を得ていましたが「巣ごもり消費」の後押しを受けて、今年それがより顕著な形となってあらわれました。では、海外でこういった「Japanコンテンツ」を支持しているのはどんなお客様なのか?「honto」のデータからデモグラを紹介したいと思います。
「Japanコンテンツ」を支持しているのはアメリカのお客様が多く、次いでオーストラリア、台湾エリアからの購入も多く、イギリスやドイツ、フランスといったヨーロッパ圏のお客様も「honto」でのお買い物を楽しんでいます。リトアニアやマルタ、サウジアラビア、アラブ首長国連邦からお買い求めいただいているケースもありました。また、男女比はほぼ半々で、年代層は20代が最多、30代、40代と続き、中には90代のお客様もいらっしゃいました。
ご購入いただいているのはコミックスや芸術・アート、趣味に関する書籍が多く、児童書では日本語の学習本も人気を集めました。特に趣味に関しては手芸や歴史ものなど同じテーマの関連本を複数購入される研究熱心なお客様が目立ちました。また、書籍以外でも、日本のアーティストやアイドルのCDやDVD、Blu-ray Discなどを購入されていて、日本のコンテンツを紙の本やCDでコレクションしたいという思いが表れています。
また、「Japanコンテンツ」とコラボしたノートやボールペンなど安価で品質の良い日本の文房具や、グラノーラやカップ麺、インスタントコーヒー、出汁などの日常食品をお買い求めになるお客様も多く、日本のアイテムで生活を彩りたいという思いを感じる結果となりました。
Buyeeにおける「honto」ユーザーのデモグラフィック次は越境ECで海外販売を伸ばしているエンタメ企業をご紹介します。シティコネクションさんは、ゲームのパッケージソフトやサウンドトラックを扱っています。マニア層に向けた商品展開に定評があり、固定ファンも多数いらっしゃいます。『暴れん坊天狗』など海外でも人気のゲームを販売し、越境ECとTwitter施策を組み合わせて海外販売を伸ばしているシティコネクションさんに、越境ECの活用方法に関してお話を伺いました。
海外でも人気のレトロゲーム『暴れん坊天狗』自社ECの運営を始めてから約10年になりますが、事業の拡大・商品の拡充に伴い、海外のお客様からもお問合せをいただく機会が増えました。近年は特に、世界中で日本のゲームへの関心が高まっていることを実感する一方、海外販売に関してお客様へスムーズなご案内ができないことにもどかしさも感じていました
タグ設置のみで越境ECをスタートすることができ、まずは導入の簡単さに驚きました。 海外のお客様からお問合せいただいた新作タイトルをリリースした際に、自社のTwitter投稿も相まって購入が入り、注文件数が通常の何倍にもなり手ごたえを感じました。海外のお客様からご購入いただき、開発メンバー含めて社内のモチベーション向上にもつながりました。
これは現在当社でも課題として少しずつ取り組んでいることなのですが、ECサイトの画像を含めたローカライズをおすすめします。例えば、商品を紹介する文字情報だけでなく、バナーやメニューボタンなどの画像ですね。日本語と英語を併記するといった形でもいいと思います。
当社のTwitterでは英語での情報発信も心がけています。海外のニュースであっても自国の言語で発信されていると、印象が良いですよね。日本ではアニメやゲームが好きな人はTwitterに集まる傾向があり、当社では2011年から情報発信のためにTwitterアカウントを運用しています。そこに海外のお客様も流入いただいています。
海外の熱心なファンが日本語の投稿であっても自発的に翻訳してくれることもあるのですが、海外のお客様に直接伝えたい内容は英語で投稿しています。新作の情報をTwitterでポストすると海外のゲームコミュニティで情報を拡散してくれる方もいて、本当にありがたく思っています。
海外ファンがついてくれている歴史の長いエンタメコンテンツは強いですね。当社では1980年代~2000年代の家庭用ゲームやアーケードゲームをさまざまな形で現代に復刻させているのですが、当時から思い入れのあるファンだけでなく、後から知ったけど実際に触れる機会がなかったという方にも喜んでいただいている印象です。まさに『暴れん坊天狗』がそうでしたね。
将来的には、海外に拠点を持ちたいと考えています。そのために、今はさまざまな分野で海外展開を軸に検討中です。まずは、「シティコネクションが海外に目を向ける会社」だと知ってもらいたいですね。今後はさらに多くの、世界中のゲームファンの方々に楽しんでいただける商品を企画・販売し、世界に向けて自信を持って発信していきたいです。
今回は「Japanコンテンツ」に学ぶ、情報発信と越境ECの活用方法をテーマにお話しました。もともと海外にファンがいるコンテンツはもちろん、ニッチな需要があるコンテンツにも海外販売のポテンシャルはあるので、まずは自社サイトへの海外へのアクセス有無を確認してみてください。
海外からのアクセスがあれば、次にTwitterなどのオウンドメディアで商品情報などを英語などで発信してみて、反応を見てみてください。海外のお客様は積極的なので、問い合わせや質問などが入る可能性があります。
海外からの需要があれば、ぜひ越境ECの導入を検討してみてください。当社は自社サイトにタグ設置のみで越境販売を可能にするサービスや、エンタメDXを支援するサービスを提供しています。
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【本】日本で人気のコンテンツが同時に世界でも人気に 【音楽】韓国人DJに再発見されたシティポップがブーム 【グッズ】トレーディングカードと、英語圏でもファンを持つVTuberのグッズが好調 「Japanコンテンツ」を愛するお客様はどんな人? 実践企業が語る、越境EC活用方法 「Japanコンテンツ」を日本だけでなく、海外にも発信してみませんか?カテゴリー
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