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新型コロナ第6波が猛威を振るう中、ニューヨークに住む乳幼児睡眠コンサルタントで2人の男の子を育てる愛波あやさんは、2022年1月、ご長男の新型コロナ感染により家族での隔離生活を経験した。【写真】家族が濃厚接触者のとき登校は?学級閉鎖も頻発!コロナ禍「家庭意識の差」 愛波さんは、こどもたちのメンタルケアが想像以上に大変だったと、前編【NY在住・2人の男の子ママが語る、長男の新型コロナ感染で大変だった”予想外“のこと】の中で語っている。その時のコミュニケーションや対応を振り返ると「これでよかったのだろうか」と、隔離生活後も悩み、自問自答を繰り返したという。 あのとき、息子になんて言ってあげればよかった?自分がもう少しラクになれる方法もあったのだろうか?現在も、同じような思いを抱えながら不安に過ごす親は、少なくないだろう。そこで後編では、愛波さんとも親交が深くアメリカで小児精神科医として活躍されている内田舞医師に、コロナ禍における親と子のメンタルケアについて伺った。----------今回取材に応じてくださったのは――内田舞医師(三児の母)小児精神科医、ハーバード大学医学部助教授、マサチューセッツ総合病院小児うつ病センター長、3児の母。Instagram: @maimaiuchidaTwitter: @mai_uchida----------
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※以下「Q=質問」は愛波さんの体験談を受け、改めて編集部より内田医師に取材したもの。「A=回答」は内田医師によるコメントです。Q:休園や休校で自宅保育の時間が増えていますが、感染せず元気にしている子どもが“本当はどう感じているのか”知りたい場合の声掛けは? また、親子で長時間いるとストレスを感じてしまう場合、それぞれの発散方法はどのようにすればよいでしょうか? A:家族内や親同士で「私はこんなところがストレスになっている」と共有する姿を子ども達にも見せて、一人で溜め込みがちなストレスについて「話してもいい」という雰囲気を作れたらいいかもしれません。そうして気持ちをシェアするときに、「〇〇の意見が正しい」「〇〇の考え方は間違っている」「文句を言っても仕方がない」などのジャッジメントは必要なく、思いを共有することを目標にしてみてください。また、イライラしたときの気晴らしの方法は人それぞれですが、自分にとって何が自分の感情を落ち着けてくれるものかをみつけてストレス解消の練習をしてみることも有効です。 私の場合は好きなスポーツを見たり、外の空気を吸いに屋外に出て音楽を聴きながら一人でランニングをしたりします。ランニングの時間は私一人の時間として大切にしていますが、短い時間でもいいのでこのように家族間でも“離れる時間”を大切にしてもいいのです。パートナーと協力して、それぞれが一人の時間を持てるように交代したり、または感染対策が信頼できるママ友・パパ友と、お互いの子どもを預かり合う時間を作るものいいかもしれません。Q:子どもがいざ陽性になった時のコミュニケーションについて。子どもが安心する声のかけ方は? また、コロナ感染は“悪”という感覚がある場合、どうしたら「感染したからといって、それが悪いことではない」とわかりやすく伝えられるでしょうか? そして、隔離しなければならない中で、子どもを傷つけないよう配慮した行動とは? A:「どんなに気を付けていても感染してしまうこともある。それほど強いウイルスだから、仕方がない。かかってしまったあとは少しつらいけれど、子どもの場合、ほとんどは1日2日で治るから、ちょっとだけの辛抱。とにかく休んで寝よう」と声をかけるのはいかがでしょうか。 子どもの重症化リスクは大人と比べて低いので、ほとんどの場合は親としてもそんなに慌てる必要はありません。しかし、稀に重症化に至ることもあるので、もし呼吸が苦しそう、熱が全然下がらない、あるいは親として「なんだかおかしい気がする」と感じるときには、病院や小児科の先生に連絡してください。次に、この期間はサバイバルなので、とにかく「乗り切る」ことを優先してください。親として制限を甘くしてもいいと思いますし、 “休んでいる(コロナと闘って頑張っている)この期間だけは特別タブレットの制限なし! ”など、各ご家庭での普段の規則・ルールを一部変更して特別なことを設けてもいいと思います。そして、子ども一人の隔離が必要になった場合は、そんな状況でも自分も家族の一員だと思える体験をさせてあげられるように、例えば、食欲があれば夕飯のメニューを決めさせてあげるなど工夫をするのがいいかもしれません。また兄弟から「よくなってね」とドア越しに話したり、家族からの特別なカードを渡してコミュニケーションをとるなどもよいでしょう。
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感染=“悪”ではなく“乗り越える課題”カテゴリー
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