無線ルーターについて考えるのは、せいぜい問題が起きて困ったときくらいなものだ。しかし、ということは、思ったよりもぼくらは無線ルーターのことを気にしている。時間のかかるダウンロード、半分しか表示されないウェブページ、スカイプ中に固まる画像。
「こうしてみると、無線LANは重要なユーティリティです」とニック・ウィーヴァーは言う。「電気や水と同じで、あって当たり前、なければ困るのです」
ウィーヴァーは家庭内のインターネット環境の向上に取り組むEero社の創立者で、「Eero」という名の無線ルーターシステムを発売した。
まず目に付くのはEeroの外観だろう。すっきりとしたデザインをしているが、これは 「デヴァイスを見えるところに置いて、それだけで家庭内のWi-Fiネットワークの性能を格段に上げる」ためだそうだ。ルーターを見えないところに隠そうとすれば、干渉が増えてインターネットの速度を落としてしまうからだ。
Eeroのデザインのいちばんの売りは、その扱いやすさにある。このデヴァイスはクラウドにつながっていて自動的にアップデートされるため、セキュリティ・ホールも自動でパッチが当たる。Eeroは専用のアプリによって管理され、ボタンひとつであなたのネットワーク名とパスワードを使って接続してしまう。
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接続速度を常時調べることができるし、インターネット接続の「健康診断」も行ってくれるので、不調の際も原因がすぐにわかる。
無線LANやBluetoothでつながっているデヴァイスをまとめてスマホで管理できるようになり、機器同士の複雑な関係を整理して使いこなすことができる。「そのためには、APIをうまく使ったある種のインフラストラクチャーが必要となります。その上で、多くのデヴァイスがネットワークにつながることになるのです」とウィーヴァーは言う。Eeroにそのインフラストラクチャー役を担わせようというのだ。
この会社は工業デザインの担当にフレッド・ボールドを選んだ。ボールドは、インターネットに接続されたこれからのリヴィングルームに置かれる数多くのデヴァイスのデザインを手掛けている。Nestにはサーモスタットや煙検知器のデザインで協力したし、ストリーミング・デヴァイス「Roku box」のデザインにも関わった。
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Eeroには多くの曲線が使われていて、その中身は、ウィーヴァーの言葉を借りれば7本のアンテナのついた「小さなコンピューター」だ。横から見ると上の方が少し丸く盛り上がっているのが分かる。そのため、普通のルーターには見られない柔らかな感じのデヴァイスになっている。
Nestの製品やRokuも、直線と曲線からつくられているわけで、それこそが、ボールドの作品の多くに共通するデザイン上の特徴である。「直線の部分は、わたしたちの秩序や論理性、構造を尊ぶ気持ちを表しています。曲線のほうは、情緒やよい感触への想いを表しています」と彼は説明してくれた。「このふたつの間には、調和と緊張感とがあるのです」
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