ウインドリバー(日本法人)代表取締役社長の中田知佐氏(左)と、ウインドリバー(Wind River Systems)最高技術責任者のポール・ミラー氏
中田氏によれば、Wind River Studioは同社初となる“クラウドネイティブプラットフォーム”だ。エッジコンピューティング環境向けに、Kubernetesおよびコンテナ技術を活用したアプリケーションの開発、デプロイ、運用、サービス管理を効率的に行うための各種機能を提供する。ウインドリバーは従来、リアルタイム性が要求される組み込み製品向けOS/仮想化製品に強いが、その「組み込みの世界にクラウドネイティブの手法をもたらす」のが狙いだ。オープンソースのクラウド基盤「StarlingX」をベースに開発Wind River Studioは数段階に分けて順次機能が提供され、今回のファーストリリースでは5Gのマルチアクセスエッジコンピューティング(MEC)および仮想化RAN(vRAN)の展開、運用管理をサポートする「Wind River Studio Operator Capabilities」の提供を始める。北米の通信事業者であるVerizonとは「数年前から取り組みを始めており、昨年、vRANのプラットフォームとして5Gの本番環境に採用され、仮想基地局がすでに稼働している」(中田氏)。
Wind River Studioの概要。左の「Operator Capabilities」を先行してリリースする
また、開発者向けプラットフォームである「Wind River Studio Developer Capabilities」もパブリックプレビュー版の提供を始めている。DevSecOpsツールチェーン、デジタルツイン、デジタルフィードバックループ、デバイスセキュリティ、OTA等の機能を備えるもので、こちらは2021年春に正式リリースする予定だ。Wind River Studioの特徴と機能の詳細については、ウインドリバーで最高技術責任者(CTO)を務めるポール・ミラー氏が説明した。Wind River Studioは、オープンソースプロジェクト「StarlingX」をベースに作られている。StarlingXは、ウインドリバーが開発したNFV(ネットワーク機能仮想化)インフラ向けソリューション「Titanium Cloud」をオープンソース化したもので(参考記事:StarlingXは5G vRANの基盤になるか? クラウド技術をネットワークエッジへ)、前述のVerizonのほか、欧州の通信事業者やRAN機器を開発・製造するベンダーもこれを活用した仮想ソフトウェア基地局を開発している。これをベースとするWind River Studioも様々なベンダーのRANソフトウェアおよびエッジ向けアプリケーション、それらを稼働させる各種ハードウェアをサポートしており、マルチベンダー構成のvRAN/エッジクラウドの展開が可能だ。
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