フォルクスワーゲンID.4 52kWh ピュア・ライフ(英国仕様)
最新の純EVは想像以上に進化しており、乗りやすいクルマになっている。モデルを牽引する初期の上位グレードに続いて、航続距離の短いお手頃な仕様も追加されるようになってきた。【写真】お手頃なフォルクスワーゲンID.4「ピュア」 欧州市場で競合する純EVと比較 (111枚)バッテリー技術の向上とともに、大容量化が進むことは間違いない。同時にフォルクスワーゲンは、ID.4のクルマとしての仕上がりに自信を持っているのだろう。ピュアと呼ばれる、手頃な52kWh版を英国市場へ導入した。この廉価版となるID.4 ピュアの英国価格は、3万4995ポンド(約542万円)から。航続距離は、342kmがうたわれている。77kWhのID.4と比較し、約160km距離は短いものの、6435ポンド(約100万円)価格は安い。内燃エンジン・モデルの値段へ見慣れていると、さほどお手頃には感じられないかもしれない。だが、ヒョンデ・アイオニック5やキアEV6といった、韓国メーカーの純EVより安価になっている。加えてID.4 ピュアは、デュアルゾーン・エアコンにシートヒーター、キーレスエントリー、アダプティブ・クルーズコントロール、ナビなどが標準装備。かなり充実した内容といえる。ただし、駆動用モーターの最高出力が147psへ制限される。車重は2t近くあるため、0-100km/h加速は10.9秒が必要となってしまう。1880ポンド(約29万円)の追加で、177psのモーターへアップグレードも可能。だがそうすると、お手頃という強みが薄れてしまう。価格が若干高いアイオニック5の方が駆動用バッテリーは大きく、航続距離は約400kmもある。
フォルクスワーゲンID.4 52kWh ピュア・ライフ(英国仕様)
これまでAUTOCARではID.4に何度か試乗している。基本的に、とても好感の持てるクルマだといえる。ドライビング体験に気になるところはなく、動力性能は充分に活発。車内の人間工学にも優れている。タッチモニターやセンサー類に集約されたダッシュボードが、少々使い勝手で劣ることが数少ない課題といえた。今回試乗したID.4 ピュアの場合、タッチモニターの反応は非常に良好だった。動作も滑らかだったと思う。それでも、すべてが直感的に使えるというわけではない。お手頃なID.4で検証するべきは、駆動用モーターとバッテリーが、充分かどうかということ。確かに、現代の純EVでは遅い部類に入ることは間違いない。それでも、駆動用モーターの特性が、その印象を和らげてくれていた。内燃エンジンとは違い、フルパワーを求めても大きなノイズが響くことはない。結果として、躊躇せずに額面通りの最高出力を引き出すことができる。純EVの場合はハーフスロットル程度でも、よりパワフルな内燃エンジンを載せたフルスロットルに近い初期加速が得られる。駆動用モーターの最大トルクは回転直後から立ち上がるため、50km/h前後までのダッシュ力に目立った不満はなかった。といっても、速いと感じるほどではない。予算が許すなら、パフォーマンス・モーターと呼ばれる177ps版を搭載したいところ。少なくとも、駆動用モーターを強化しただけでは、航続距離に大きな影響もない。
次ページは:価格価値やドライビング体験には優れる1/2ページ
最終更新:AUTOCAR JAPANカテゴリー
関連記事
ホット記事
タグ