シャープ通信事業本部 パーソナル通信事業部 事業部長の小林繁氏。「2020年末までに累計1,000万台以上の5G製品を出荷していく」と言います
オンライン記者説明会の冒頭、登壇した通信事業本部の小林繁氏は「AQUOSシリーズはすべてが5G対応となりました。シャープでは、すでに20台の5G端末を展開しており、メーカーとして国内の5G普及に大きく貢献しています」と胸を張ります。
AQUOSシリーズを通じて「独自の着眼とイノベーションを未来の常識に変えていく」と小林氏。そのためにはフラッグシップ端末の開発だけでなく、最先端技術をミドルレンジのシリーズにも展開していくことが大切である、と力説します。シャープでは2021年6月にフラッグシップ機の「AQUOS R6」を発表しましたが、その開発で得たカメラ画質の向上技術、省電力のIGZO OLEDディスプレイなど、そのDNAは今回の新製品2モデルにも引き継がれているとして、本題につなげました。
AQUOS zero6は「超軽量化」と「機能網羅」という相反するテーマに挑んだ製品です。小林氏は「いまのスマートフォン市場では、スマホを使う人ほど、重たく持ちにくいスマホを持たざるを得ないのが現状」と説明したうえで、AQUOS zero6では「エッセンシャルな機能を網羅しながら、最先端の構造設計とモノづくりで主要部品以外の重量を劇的に削減した」とし、「前人未到の5G世界最軽量」「異次元の並外れた軽さ」を実現できたとアピールします。
バッテリーは4,010mAhの大容量となり、通信面では5Gのミリ波/Sub6に両対応。イヤホンジャック、micro SDXCスロットを搭載しており、トリプルカメラも採用していますが、その総重量は(発売当時に軽さが話題となった)AQUOS zero2から、わずかプラス5gの約146gに抑えました。
小林氏は「いまや人類にとって、衣食住の次に来るのがスマートフォン。AQUOS zero6は、身に着けるように軽やかに、同時にどんな用途にもとことん使いこなせる、ネオハイエンドスマートフォンに仕上げました」と紹介します。
続いて登壇したシャープ通信事業本の小山誠也氏は、AQUOS zero6が薄型化できた秘訣についてさらに詳しく解説しました。まず挙げたのは、鉄の1/5の重さというマグネシウム合金の内部フレーム採用により軽量化と薄さ7.9mmを実現したこと。また、耐久性に優れたカバーガラスCORNING GORILLA GLASS VICTUSを採用したこと、さらにはバックパネルも「キズ」「曲げ」両方に強い素材をハイブリッドで採用することで薄型化したと説明。このほか基板面積を14%削減するなど、数多くの創意工夫でAQUOS zero6の設計にたどり着いた、としました。
また、軽快で俊敏な動作もAQUOS zero6の特徴のひとつ。まず通信速度はシリーズで初めて5Gミリ波に対応しており、受信時は最大2.8Gbps、送信時は最大480Mbpsの速さで通信できるようになりました。これにより「1GBの映画ならダウンロードにかかる時間は3秒。駅のホームで2時間分の映画をダウンロードして、車内でゆっくり楽しむこともできます」と小山氏。
ディスプレイは独自開発の240Hz有機ELディスプレイを搭載。1秒間に240回もの描画更新とタッチ検出を行います。ゲームはもちろん、ゲーム以外のアプリ、例えばスクロールの多いSNS、ニュースアプリでも、残像の少ないクッキリ見やすい表示が可能となりました。このほか、10億色表示、ステレオスピーカー搭載といったエンタメに関わる部分も強化されており、「臨場感のある映像と音でゲームや映画により没頭できる」と説明します。
SoCはSnapdragon 750G 5Gを採用。メモリーは8GB、内蔵ストレージは128GBという「マルチタスクも楽々こなせる」(小山氏)スペックです。なお電池の持ちは、AQUOS zero5G basicと比較して約20%長くなりました。
カメラについてはAQUOS R6の開発で得た技術を応用した「ProPix3」を搭載。ノイズリダクションやエッジ処理が最適化され、被写体の輪郭などをより自然に表現できるようになっています。
AQUOS zero6の発売時期は2021年秋以降。すでにKDDI(au)/ソフトバンクの両社が取り扱うことを発表しています。注意したいのは、ドコモのプラチナバンドであるBand 19(800MHz)の周波数に対応していないこと。これについては質疑応答でシャープ側の見解が説明されました(後述)。
続いて登壇したシャープ通信事業本部の清水寛幸氏は、必要十分をコンセプトに掲げ、累計で1000万台を出荷したという「AQUOS sense」シリーズの最新端末「AQUOS sense6」を紹介しました。
昨今のスマホ市場ではバッテリーの大型化が進み、2021年に登場したスマホの電池容量の平均は4,600mAhになったという清水氏。それにともない、スマホのサイズも大型化し、厚くなってきました。「巨大化するスマートフォンに疑問を持ちました。電池容量のために大型化することは、本当に望まれているのでしょうか」(清水氏)。
そこで目指したのは、安心の電池持ちをもっと使いやすく、ワクワクするスタイルで実現すること。清水氏は「毎日をもう1歩、楽しくワクワクするもにのにしたいという思いで、シリーズ史上、最もスタイリッシュでパワフルなスマートフォンに仕上げました」とアピールします。
AQUOS sense6では画面周囲の額縁部が狭くなり、すっきりとした印象に。見やすさ、持ちやすさを絶妙なバランスで両立しています。また、画面内指紋センサーも搭載しました。電池容量は4,570mAhながら、端末の厚さは7.9mmまで薄型化。これ、どうやって実現したのでしょう? その薄型化に大きく貢献したのが、新しく採用したIGZO OLEDディスプレイだったそうです。液晶と異なりバックライトが不要なことに加え、お札1枚の厚さしかない薄型フレキシブルOLEDの採用で「美しいスタイルを実現できた」(清水氏)とのことでした。
電池持ちを伸ばすため、省エネ性能にも力を入れました。IGZO OLEDのアイドリングストップ技術、画質調整技術「リッチカラーテクノロジー」などにより、15%の省電力化を実現。その結果として“1週間の電池持ち”をうたいます。電池の劣化を抑えるインテリジェントチャージも気になる新機能。3年後も電池容量を90%以上維持するというから驚きです。
AQUOS sense6でも標準、広角、望遠のトリプルカメラ仕様となっています。プレゼンテーションでは美しい作例も紹介されました。
SoCはSnapdragon 690G 5Gを採用。メモリと内蔵ストレージは6GB/128GB、4GB/64GBの2つのバリエーションを用意します。
AQUOS sense6の発売時期は2021年秋以降。NTTドコモとKDDI(au)が取り扱いを発表しました。カラバリは、KDDI版がライトカッパー、シルバー、ブラックの3色に対して、ドコモ版ではドコモオンラインショップ限定カラー:ブルーメタリックを加えた4色で展開します。
このほか、シャープのIoTスマート家電についても進捗が紹介されました。AQUOSスマートフォンとCOCORO HOMEが直接連携することで、アプリを介さずにスマート家電を簡単に操作できる「AQUOS Smart home HUB」を開発したとのこと。スマホの通知領域からSmart home HUBを呼び出して、スマート家電のオン/オフ、運転の状態確認ができるのがメリットです。
使い方も簡略化されており、スマート家電をWi-Fi接続し、家電とスマホの両方でCOCORO MEMBERSにサインインすれば利用を開始できるとの説明でした。AQUOS Smart home HUBは、2021年11月以降のAQUOS全シリーズに提供される予定です。
そして、古いスマホから新しいスマホにデータを簡単に移行できる「かんたんデータコピー」についても紹介がありました。AQUOSの新端末に同梱されるUSBケーブルを使えばよく、旧端末側はAndroidにもiOSにも対応。壁紙/Wi-Fi設定/写真/メッセージ/アプリまで、丸ごとコピー/ダウンロードできるとの説明でした。この機能は2021年以降のAQUOS全シリーズにおいて提供します。
最後に、公式アクセサリーについてもアナウンスがありました。AQUOS zero6、AQUOS sense6の発売に向けてAQUOS史上で最多となる8社(10ブランド)と協業しており、安心安全なアクセサリーを用意しているとのことでした。
発表会の最後には質疑応答の時間がもうけられ、記者団の質問に担当者が回答しました。想定価格は、という質問には「販売元で決めることですが、シャープとしては前機種(AQUOS zero6はAQUOS zero5G basic、AQUOS sense6はAQUOS sense5G)と大きく変わらないレベルを想定しています」と回答。販売台数の目標については「非開示ながら、それぞれの前機種を超える出荷台数を目指しています」としました。
AQUOS zero6がドコモのプラチナバンド(BAND19)に対応していない理由について聞かれた小山氏は「各キャリアのバンド構成に最適化したカタチにしており、それにより全体的なコストを最適化しています」と述べ、小林氏は「別のキャリアのSIMを挿したときにどうなるのか、というご質問と理解しました。そこは議論の余地がある部分です。私どもとしては、いまは大半の方がお買い上げいただいたキャリアでそのまま使っている傾向が強いと考えています。端末で対応できる周波数には対応していきますが、コストとパフォーマンスのバランスから、特定のキャリアにだけ別の対応が必要な場合は、ケースバイケースで判断しているのが現状です」としました。
市場の5Gスマホの展開をどう見ているかという質問に対する小林氏の答えは、「シャープではすでに20機種の5G対応商品を導入しています。5G対応は今後、珍しいことではなくなるでしょう。市場は、5Gを使って何をするか、にシフトしていくのではないでしょうか」というもの。
かつては積極的に採用していたワイヤレス充電「Qi」(チー)の導入状況について聞かれた小林氏は「(Qiに対応すると)コイルが入るので厚みが出るわけですが、そのぶんをバッテリー容量に充てたほうが良いという考え方もあります。今回は、両モデルとも薄さ・軽さを特徴としたので、Qiの搭載は見送りました。お客様にどちらを選んでもらえるか、いま考えながら判断しています。高速充電できるQiも出てきましたし、今後も、商品によっては展開を考えています」としました。
今回は全ラインナップが有機ELとなったが、液晶を採用したモデルはなくなるのか――と問われた小林氏は「機種ごとに決めていきます。OLEDなら電力効率が良くなり、電池持ちも伸びます。端末のデザインもスタイリッシュになる。ただ液晶には、液晶の良さもあります」と回答するにとどまりました。
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