回線の種類やプランの見直しを検討してネットの高速化を図ろう
インターネットが遅くなる原因がネット回線にあるとわかったら、回線の種類やプランの見直しを検討しよう。その際は、各種の割引サービスの利用を検討したい。NTT東日本や同西日本が実施している「光コラボレーションモデル」(光コラボ)は、同社の光回線を他社に卸して販売する仕組み。ドコモ光やソフトバンク光などはこの制度を利用して光回線を販売している。光コラボを利用した光回線プラン同士の場合、他社の回線への切り替えが、原則工事無しでできるメリットもある。ドコモやau、ソフトバンクのスマートフォンを利用しているのであれば、光回線とのセット契約で受けられる割引を検討したい。スマホの月々の利用料から、契約しているスマホの台数分だけ割引を受けられる。各社ともにスマホ1台につき最大1100円と割引額が大きく、家族分のスマホも台数にカウントされるので、家族で契約しているケースではかなりの割引額になる。【ビジュアル解説】光回線を見直す際の注意点はこちら
ギガ超えの光回線は実際どれくらいの速度が出るか、気になるところだ。日経PC21の編集部員宅で最大通信速度2ギガビット/秒(Gbps、ギガは10億)のNURO 光を導入したところ、最大通信速度1Gbpsのフレッツ光の3倍以上も速くなった。また、別の編集部員宅でNURO 光 10Gの回線を導入したところ、約3.5Gbpsの速度を記録した。回線速度は計測した時間帯や地域によって変動しやすいので、これらの例もあくまで目安にすぎないが、回線を切り替えることでネット回線を大幅に高速化できるのは確かだろう。なお、ギガ超えの回線の場合、宅内配線も確認したい。宅内のハブやケーブルが高速有線LANに対応していないと、そこで速度が低下する。最低でも、ギガビットイーサネットを用意したい。
現在、多くのプロバイダーで使われている「IPv4 PPPoE」によるネット接続方式では、時間帯によって通信速度が著しく低下することがある。原因の1つに、IPv4網の混雑がある。IPv4の需要に対してNTT基地局とプロバイダー間の接続容量が小さいため、利用が集中する時間帯で渋滞が発生しやすい。そこでお勧めしたいのが、インターネットの接続を「IPv6 IPoE」に切り替えること。これは従来のIPv4 PPPoEに代わるネット接続方式だ。IPv4は利用者が多く混雑する時間帯に低速になりがち。そこで利用者が少なく高速な設備を持つIPv6を使い、接続に必要な認証を簡略化してネットの高速化を図る。接続にIDやパスワードの入力が不要なので、Wi-Fiルーターのネット接続設定も簡単になる。IPv6 IPoEを利用する環境では、「IPv4 over IPv6」という機能も利用できる。これは、IPv6の通信網を使いIPv4の通信を送受信する技術だ。IPv6 IPoEの提供方法はプロバイダーによって異なるが、ユーザーが申し込みをすれば無料で切り替えてくれるケースが多い。工事は不要で、申し込むとサービス開始日がメールなどで通知される。申し込まずに利用できる場合もある。なお、IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6を利用するには、Wi-Fiルーターが対応している必要がある。2021年11月中旬現在、国内メーカーのほとんどの現行機種が対応している。IPv6 IPoEやIPv4 over IPv6の利用をプロバイダーに申請しても、ルーターの設定がIPv4 PPPoEのままだと元の状態で接続してしまう。これを防ぐにはルーターの設定を初期設定に戻し、回線の種類を自動判定にするか、手動でIPv6 IPoEに切り替える。(ライター 田代祥吾)[日経PC21 2022年1月号掲載記事を再構成]
カテゴリー
関連記事
ホット記事