スバルの頂点モデル「レガシィ アウトバック」正式発表。なぜ北米市場から2年も遅れて日本発売されたのか?
<北米発売は2年前。日本導入が遅れた理由とは?>スバルが第6世代となる「レガシィ アウトバック」を発表しました。グレード展開は、グリーンの差し色でアウトドア志向を表現した「X-BREAK EX」(414万7000円)と、切削のアルミホイールでアーバンテイストを表現した「Limited EX」(429万円)の2種類です。【写真をもっと見る(6枚)】実は、6代目となる現行アウトバックのグローバル展開がはじまったのは2019年9月で(※グローバルでは「アウトバック」という車名で展開)、北米市場に投入されて2年後にようやく日本導入が実現しました。左ハンドルを優先して日本仕様は後から開発されたのかといえば、そうでもないようなのです。遅れた理由はなんだったのでしょうか? <理由その1:先進運転支援システムが最新のアイサイトX>海外向けのアウトバックのアイサイトを調べてみると、北米向けは旧世代のアイサイトVer.3相当で、2021年2月に登場した欧州向けは新世代アイサイトとなっています。一方、日本仕様はさらにハンズオフなど高度な運転支援に対応した「アイサイトX」を装備。こうしたアイサイトの違いがローンチの時期に影響、日本向けはアイサイトXを積むために時間が必要だったというわけです。<理由その2:日本の道路環境に合う新世代の1.8Lターボの採用>さらにエンジンも仕向地によって異なります。北米仕様では2.5L NAと2.4Lターボを設定、欧州向けは2.5L NAの設定ですが、日本のレガシィ アウトバックは1.8Lのダウンサイジングターボを搭載します。低速域で使われることが多い日本の道路環境に合わせて、燃費とパフォーマンスの両立を狙った選で、この最新世代の1.8Lターボを搭載もあって、日本仕様の発売がこのタイミングになったというのがスバル開発陣の主張です。<レヴォーグの二番煎じではフラッグシップらしくない!?>もっとも、1.8LターボもアイサイトXも2020年秋にデビューした現行型「レヴォーグ」に搭載されたものと基本的には同一で、フラッグシップたる“レガシィ”が約1年遅れでフルモデルチェンジするというタイムラグの理由としては少々合点がいかないかもしれません。もちろん、アイサイトXを車種ごとにキャリブレーションする必要があるため、同じタイミングでローンチするのは難しいという事情はあるのでしょうが…。パワートレインについては最高出力177ps、最大トルク300Nmというエンジンスペック自体はレヴォーグと同じですが、ファイナルギア比やスロットルマップといった制御系を見直すことで専用の走り味を作り込んでいるために時間がかかったという部分もあるでしょう。とはいえ、レヴォーグの二番煎じという印象は否めず、フラッグシップへの採用を優先してほしかったというのがファンの偽らざる気持ちかもしれません。<悪路走破性の向上や室内のアメニティに注目>いずれにしても、全長4870×全幅1875×全高1670mmと従来モデルより大きくなったボディはフラッグシップに相応しく、最低地上高を従来の200mmから213mmへするなど、高められた4WDの悪路走破性にも期待がかかります。また、インテリアではナッパレザーシートや「ハーマン/カードン」のスピーカーなどプレミアムなSUVであることを感じさせるオプションを設定。11.6インチの大型インフォメーションディスプレイでDVDを楽しめるようプレーヤーもアクセサリーとして用意されるというのはターゲットユーザーの嗜好を十分に考慮したものといえます。はたして、スバリストと呼ばれるスバルの熱狂的なファンは、新しいレガシィ アウトバックをどのように評価するのでしょうか。文:山本晋也(自動車コミュニケータ・コラムニスト)
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