インターネットは根本的にアメリカ的なものだけれど、それがどういう意味かを十分に理解するためには、アメリカを離れる必要があった。ワールド・ワイド・ウェブはジュネーブのCERN研究所で1989年に発明されたものだけれど、ウェブがアクセスされるやり方は野球と同じくらいアメリカ的だから、アメリカのICはホームアドバンテージを得ている。ケーブルや人工衛星、サーバや通信タワー──インターネットのインフラの実に多くはアメリカの支配下にあるので、世界のインターネットトラフィックの9割は、アメリカ政府やアメリカ企業が開発、所有、運用している技術を経由する。
そうした企業のほとんどは物理的にアメリカ領にあるのだ。伝統的にそうした優位性を懸念する国々、たとえば中国やロシアは、大金盾や政府出資の検閲つき検索エンジン、あるいは選択的GPSを提供する国有人工衛星群といった代替システムを作ろうとはしてきた──でもアメリカの覇権は続いていて、ほとんど誰でも好き勝手にオンオフできる、マスタースイッチの管理者となっている。
根本的にアメリカ的なものだとぼくが定義しているのは、インターネットのインフラだけじゃない──コンピュータソフトもある(マイクロソフト、グーグル、オラクル)し、ハードウェアもある(HP、アップル、デル)。チップ(インテル、クアルコム)から、ルーターやモデム(シスコ、ジュニパー)、さらにはメールやソーシャルネットワークやクラウド保存を提供するプラットフォーム(グーグル、フェイスブック、そして構造的にはもっと重要ながら見えにくいアマゾン。アマゾンはアメリカ政府にクラウドサービスを提供し、さらにインターネットの半分を提供している)もそうだ。
こうした企業は、デバイスの生産はたとえば中国で行うかもしれないけれど、企業自体はアメリカ企業で、アメリカ法の管轄下にある。問題は、これらがアメリカの秘密政策にも影響されていて、これが法を歪め、アメリカ政府がコンピュータに触れたり、電話をかけたりしたことのあるほぼあらゆる老若男女を監視できるようにしているということだ。
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