アイ・オー・データ機器はアナログメディアからデジタル化するための機器が豊富。なかでもレコードからスマートフォンに楽曲を取り込める「ADレコ(AD-1)」が目にとまり、ついポチってしまった。
レコードの楽曲をデジタル化するためのプレーヤーは近年、数多くある。しかし、どれもプレーヤーの性能としてはかつてのオーディオ機器からすると頼りないものが多い。
昔のプレーヤーを使う場合、問題になるのがプレーヤーからの出力をそのまま使えないこと。プレーヤーからの信号は極めて小さく、いわゆるイコライザーアンプというものが必要になる。イコライザーと名前が付いているように、レコードの音というのは溝の触れ幅の問題から高音を上げて低音を下げて録音している。イコライザーアンプには電気信号を増幅するとともに高音と低音のバランスを元に戻す役割も求められる。
ADレコ(AD-1)アイ・オー・データ機器のADレコの場合はイコライザーアンプを内蔵していることが特徴で、別途機器を使わなくてもダイレクトに昔ながらのプレーヤーをつなぐことができ、そのままスマートフォンで録音できる。なかなか便利な製品なのだ。
早速、身内が持っているかつてのプレーヤーを引っ張り出して録音を開始してみる。プレーヤーはテクニクスのSL-1600、1976年発売の機種だが、オート機構以外は動作し、ターンテーブルの回転も安定して動作しているものだ。付いていたカードリッジもちゃんと音を出している。
プレーヤーの接続はRCAプラグとアース用にみの虫クリッププレーヤーと接続した状態ADレコとの接続は、プレーヤーの出力のRCAプラグを接続、アースはみの虫クリップで接続する。スマートフォンへは付属のアダプターを付けて接続する。対応するスマートフォンはType-Cを装備するAndroid機種か、iPhoneの場合は別売りの「Lightning - USBカメラアダプタ」を使って接続する。
AndroidはType-C専用となっているが、OTGアダプタを用意すれば手持ちのmicroBのコネクタを持つ機種でも利用可能だった。それよりも外部機器の場合、挿せばすぐ認識するAndroid機もあれば、外部機器の利用をオンしないと認識しない機種もある。挿しても反応がない場合は設定を再確認したい。
アプリはAndroid、iOSともにアプリストアからダウンロードできるアプリを起動し、「アナログ録音」を選ぶ録音待機状態。レコードに針を落とし、再生開始とともに録音開始ボタンを押すがあとから編集もできる使うアプリは「CDレコミュージック」。利用は難しくなくADレコを接続した状態で「アナログ録音」を選択、録音を開始してからプレーヤーの針をレコードに落とす。
プレーヤーが楽曲を再生してスマートフォンで録音しているうちに楽曲をインターネットで検索、曲名などを自動的につけてくれる。クラシックのアルバムを再生したのだが、演奏が始まってしばらくすると曲名だけでなく演奏者まで取得してきたのには驚いた。CDのリッピングでは楽曲の長さのパターンから曲名を導き出すサービスがあるが、こちらは録音データそのものを解析し、曲名や演奏者を引き当ててくるようだ。
再生中。付いていたカードリッジはDJプレイで有名になる以前のオルトフォンコンコルドSTD再生していくと楽曲の内容から曲名や演奏者などをインターネットから取得するジャケットのサムネイルと実際のジャケットが一緒だ特にクラシックの場合、同じ音源をレコードごとに再構成することもあり、アナログ録音しても曲名や演奏者は合っていても、レコードジャケットのアイコンは別のものということもある。
そして、レコードはA面とB面があるが、録音状態のままB面にひっくり返し再生を続け、最後に曲を曲ごとに切ってファイルを微調整して完了する。出来上がった楽曲のそのままCDレコミュージックのアプリで再生してもいいが、別の楽曲再生アプリや別の機器にデータを転送して聞くこともできる。
こちらは別のレコード。曲名などは合っているが音源を寄せ集めた盤なのかサムネイルが揃ってない録音自体は非常に簡単だが、やはりアナログレコード。盤面のホコリに針が乗り上げればパチンというノイズになる。古いレコードでカビがあればその部分は音がおかしくなる。なんだか懐かしくなり、専用のレコードクリーナーを用意したくなる。
ADレコを使って困った点といえば、録音レベルが自動調整なところ。曲間で無音のところは録音レベルが上がってしまい、ノイズレベルも上がってくる。曲中も録音レベルが上下する。今どきのコンプレッサーバリバリの録音の楽曲ならまったく気にならないのかもしれないが、昔のアナログレコードにそんな楽曲は少なく、クラシックならなおさらだ。録音レベルの問題はアプリの更新でぜひ対応してほしいところだ。
ちなみにADレコはレコードの録音のほかライン入力も装備していて、アナログの音源のデジタル化に活用ができる。カセットテープのデジタル化でも、最近のカセットデッキよりも昔のよく整備された高級カセットデッキのほうが音が良い。それをAD-1のライン入力から取り込めばデジタル音源化も高いクオリティでできそうだ。
製品名 | 発売元 | 購入価格 |
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ADレコ(AD-1) | アイ・オー・データ機器 | 8800円 |
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