まずはパッケージから見ていこう。シングルプロセッサ対応のマザーボードでありながら5万円することもあり、パッケージは非常に豪華だ。パッケージ本体は黒をベースに金色の「X」が大きくあしらわれており、手にした瞬間から最上位を手にしたという満足感が得られる。
製品パッケージパッケージは見開きで、本体が見えるほか、特徴説明となっている同梱物は非常に多い。順に追って紹介していこう。まずはマニュアル類だが、クイックインストレーションガイド、ユーザーズガイド、ソフトウェア/アプリケーション解説に加え、今回はIntel X99プラットフォームに特化したオーバークロッキングガイドが付属。表記は英語だが、このクラスを手にする上級ユーザーであれば苦労せずに読める内容だ。Haswell-Eの電圧ドメインの解説や、容易に到達できそうなクロックの設定方法など一通り解説されており、Haswell-Eを初めて扱うユーザーの参考になる。
続いてはストレージ関連のケーブル類だが、ストレートのSATAケーブルが3本、片方がL字型となったSATAケーブルが3本付属するほか、拡張スロットからSATAと電源を引き出して、eSATA経由で外からバルクのHDDやSSDが接続できるブラケット/eSATA→SATAケーブル/電源ケーブルが付属する。基本はバラック状態で使うマザーボードではあるが、ケースに組み入れてオーバークロックするハイエンドユーザーにも便利な付属品となっている。
本製品は最大4基のビデオカードで3way/4way-SLIなどの構成が可能で、NVIDIA SLI用のケーブルが4本付属している。長短異なるケーブルが2本ずつ添付されており、ユーザー好みのスロットでSLIが構築できるようになっている。なお、CrossFireX用ケーブルは付属しないが、これはRadeon R9 290Xなどではケーブルが不要になったためと思われる。
付属するバックパネルはバリが少ないスムーズなもので質感は良く、背面はブラックのシールが貼られ、黄色でアイコンなどを印字し、本体のイメージカラーと一致するものとなっている。また、電源スイッチやLEDのケーブルをまとめて抜き差しできる「Mコネクタ」や、無線LANのアンテナが2本付属している。
オマケとして、「液体窒素を買いに出かけてます」といったジョーク交じりのドアノブに引っ掛けるプレート、好きな場所に貼れるロゴプレート、そしてUSBメモリが付属している。
この中でもっとも評価したいのはこのUSBメモリだ。Team製のUSB 3.0接続/8GBモデルで、リードが比較的高速な上に、DVDにも収録されているドライバとユーティリティ群をすべて収録している。つまり、光学ドライブやネットワーク環境がないPCでも、ドライバとユーティリティのインストールが可能になるわけだ。これは他社にも見習って欲しいところである。
付属のマニュアルやドライバ/ユーティリティのDVDなどHaswell-E向けのオーバークロックガイドが付属するSATAケーブルは6本。eSATAブラケットや電源ケーブルが付属するeSATAは2系統だが、付属するeSATAケーブルは1本のみとなっているSLIケーブルは長短異なるものが2本ずつ、合計4本付属するバックパネルの質感は良い無線LANアンテナMコネクタドアプレートやシール式のロゴプレート、ドライバやユーティリティを収録したUSB 3.0メモリも付属するさて、オーバークロックをウリとしている製品だが、それに応じた付属品もある。XPOWERシリーズにはテスターで電圧をチェックできる「V-チェックポイント」を備えているが、この端子の間隔は比較的狭く、複数のテスターを接続する時にペン先が干渉する。そこで、引き出して接続できるケーブルが6本付属し、干渉を避ける仕組みが用意されている。
もう1つ注目したいのは、ファンを自由な場所に固定できる「OC Fan Stand」。液体窒素やドライアイスでオーバークロックする際に天敵となるのは結露だ。冷却ポッドに注がれた液体窒素は、CPUの熱で沸騰して気体となるが、温度が低いため空気中に放たれた瞬間、空気中の水分が凝固し、それがマザーボードの結露の原因となって、ショートなどの思わぬトラブルを引き起こす。そこでCPUの冷却ポッドをタオルなどで養生するとともに、冷たい気体が降りないようファンで強制的に上昇気流を作って逃がす手法が一般的だ。OC Fan Standを使えば、マザーボードの固定穴にファンを固定できるため、設置に困ることがなくなる。
そして、XPOWER“だけ”の特典として、ヒートスプレッダを外した状態=いわゆる殻割りした状態でも、CPUの固定とクーラー圧着からの保護を可能とし、冷却装置とCPUのダイが直接触れる状態を作り出せる「殻割りダイ・ガード」と、専用のバックプレートが付属する。
ご存知のように、Haswell-Eはメインストリーム向けのHaswellなどとは異なり、CPUのヒートスプレッダとダイの接合に、グリスではなくソルダリング(ハンダ付け)を採用している。グリスを採用しているHaswellと比較して熱伝導性が良く、本来殻割りを必要とせずとも十分な冷却が可能なはずだが、MSIのエンジニアはそもそもヒートスプレッダの存在が熱伝導のボトルネックだと考えているようだ。
Haswellの殻割りは、表面実装部品に注意すれば歯が薄いカッターやカミソリ1つでできるが、Haswell-EのようにヒートスプレッダがソルダリングされたCPUの殻割りは、ヒートガンで暖めてから熱いうちに剥がすといった、上級者向けの工具やスキルが要求される。本製品の殻割りダイ・ガードには、ご丁寧にも殻割りの方法が図解で解説されたガイドが付属しているが、失敗すれば十数万円のCPUが無駄になるので、一般ユーザーは手が出しにくい。
かなりリスクが高いとは言え、殻割りダイ・ガードを利用するオーバークロッカーにとってみれば、これぐらいのチャレンジがなければ世界記録を目指せない。オーバークロッカーとしての成功の裏には、こうしたチャレンジは欠かせないのだ。なお、当然のことながら殻割りしたCPUの利用はインテルおよびMSIの保証外となる。
V-チェックポイント用の延長ケーブルOC Fan Standにより、マザーボード固定穴にファンを設置できる殻割りダイ・ガード用のバックプレートバックプレートはLOTES製だ「Haswell-Eはグリスではないか」という噂も流れる原因となった殻割りダイ・ガードカテゴリー
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