タブレット型端末でGISを見ながら自然災害の可能性を話し合う生徒=愛知県一宮市の一宮高校で
二〇二二年度から高校で新学習指導要領が始まる。新設される必修科目の一つが「地理総合」で、現在は理系の生徒が選択することが多い地理を、文理問わず全員が学ぶことになる。どのような力を育もうとしているのか。新指導要領を意識した現行の地理の授業に、ヒントを探った。 (白井春菜) 愛知県一宮市の一宮高校。三年理系クラスの地理の授業で、羽土文彦教諭(48)が校門付近の写真を見せた。「みんなが見慣れた場所。昔は田んぼで、過去に何度も浸水しています」。その説明に生徒らは「毎日通るけど知らなかった」と驚きの声を上げた。 授業では、タブレット型端末を使って、地形や標高などのデータを視覚的に表示する「地理情報システム(GIS)」を見ながら身近な土地の変化も調べた。益山尚大さん(18)は「住んでいる地域は埋め立て地も多く、早めの避難が必要だと分かった」と話した。 来年度から始まる「地理総合」では、地図やGISを使って自然災害などへの理解を深め、考察する力も育む。それを念頭に授業をしている羽土教諭は「災害リスクを知り、避難経路を考えて周りの人に伝えるなど、生活に生かしてほしい」と語る。 高校では一般的に歴史専門の教員が多く、地理が専門の教員がいない場合もある。同校で世界史を担当している峠原晴香教諭(29)は「地理を教えたことはあるので不安はないが、資料を読み解くなど実践的な指導が必要になるため、教材研究に時間がかかりそう」と心配する。 ◇新学習指導要領では、選挙権年齢引き下げを受けて主権者教育を充実させる「公共」、情報モラルを身に付ける「情報Ⅰ」などの科目も新設される。四月から成人年齢が十八歳に引き下げられることに伴い、家庭科では消費者教育にも力を入れることになる。関連キーワード
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