LINE LiteのGoogle Playページ
LINEが発展途上国向けに提供している軽量版「LINE Lite」(Android)のサービスが2月28日に終わる。本来、日本では使えない同アプリだが、「正直困る」と嘆く日本のユーザーもいる。LINE Liteを使うと、複数のスマートフォンで1個のアカウントを同時に利用できたからだ。そもそも、LINEはなぜ複数スマホでアカウントを共有できないのか。LINE社に聞いてみた。【画像】LINE社のプレスリリース一覧にもLINE Liteの情報は無い LINEにはスマホ版以外にiPad版やWindows版などがある。これらには「QRコードログイン」という機能があり、これを使えば複数端末間でアカウントを共有できる。しかし、スマホ版には同機能が無いため、スマホ同士でのアカウント共有はできない仕様だ。 この仕様が不便だという声はずっとある。例えば、TwitterやFacebook Messenger、Slack、Discordなどは、iOSとAndroidの垣根もなく、複数台にインストールしての利用が可能だ。 なぜLINEではこれができないのか。同社に尋ねたところ、スマホ間のアカウント共有をさせないのは、不正アクセスのリスクを減らすための設計だという。 同社の最初の回答をまとめるとこうなる。LINEアカウントは電話番号と1対1対応でひも付けるのが原則で、ログインにも電話番号とLINEをインストールしたスマホが必要になる。 別の電話番号を持つスマホでは別のアカウントにしかログインできないため、画面ロックを掛けていないスマホを盗まれない限りは、不正アクセスのリスクはほとんど無い。iPadやWindowsでもログインには親となるスマホが必要なため、知らないうちに不正アクセスを許すことも無い、ということだ。 しかし、説明にはおかしな点もある。SMS認証自体は確かに本人がSMSで情報を受け取れればいいのだから、別のスマホでSMSを受け取ってもいいはずだ。それにiPadやWindowsからのログインでも安全性を保てているといえるなら、スマホ版にもこれらと同じようなQRコードログイン機能を付ければ、スマホ間でのアカウント共有も可能ではないだろうか。 LINE社にこの旨を追加で聞いてみた。 「PC版とiPad版では同一のアカウントを利用できますが、スマホ版では複数の端末から同一アカウントを使うことはできません。電話番号1つにつき1台のアプリ認証のみ可能です。同一の電話番号での認証を別の端末で行うと、以前利用していた端末ではアカウントが自動的に削除されます」(LINE社) 言い方を変えて尋ねてみたが、これ以上の情報は得られなかった。LINE Liteでスマホ間のアカウント共有ができてしまう件については「アカウントの保護観点や悪用防止のため、LINE Liteを使用しての同アカウントへのログイン使用は推奨しておりません」(LINE社)とのことだった。 確かに、スマホ版にQRコードログインのような仕組みができてしまうとセキュリティ上考えるべきことはある。例えば、(1)攻撃者が何らかの方法で持ち主のスマホを使い、攻撃者のスマホからログイン、(2)設定画面から電話番号を変更、(3)元のスマホからログアウト――という手順でアカウントを乗っ取れてしまう問題はありそうだ。 iPad版やWindows版では電話番号の変更ができないため、この方法が通用しない。しかし、スマホ版も同様にすると電話番号を変えた際にアカウント移行ができなくなるかもしれない。 一方、LINE LiteでQRコードログインによりアカウントを共有した場合も電話番号の変更はできない。LINE社が情報セキュリティ対策を取った上で公式にLINE Liteのようなアプリを提供してくれればいいのだが、そのような予定はないという。 LINE Liteに関してLINE社は「LINE LiteはLINE本体と開発部署が異なるため、詳細な仕様などは聞いてみないと分からない」としていた。LINE Liteのサービス終了が発表された当日もLINE社に問い合わせたが、サービス終了についても知らない様子だった。 今後も、LINEのChrome拡張版と、PC用Chrome拡張を使えるスマホ向けWebブラウザを使えば裏技的に共有できる可能性もあるが、複数スマホでのアカウント共有は望み薄だ。
ITmedia NEWS
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