米Appleが2020年11月に発表・発売した新CPU「M1」を搭載したMac製品で、いくつかの不具合が聞かれるようになってきた。
特に静止画・動画分野で命でもあるディスプレイ表示に関して、EIZO株式会社がはやくから同社製モニターとの互換性に関する情報を公開。M1を搭載するMac側からの映像出力で、階調飛びが生じるケースが発生しているという。本問題に関しては、対応する製品であれば回避方法があることも報じられている。
EIZOによれば、M1を搭載するMacを外部モニターと接続した場合、モニター本来の発色や階調表現を行えない場合があるのだという。この問題はEIZO製品以外のモニターでも共通して問題の発生が確認されているという。
[2021.1.8.19:00修正]記事初出時、他のモニター製品でも共通して発生する問題であるかは不明としていましたが、EIZO以外のモニターでも問題が確認されているとの指摘を受けまして、該当箇所を修正いたしました。
問題の原因は、M1を搭載するMacからの映像信号がRGBのフルレンジ出力ではなく、YUV・リミテッドレンジという、信号データを圧縮を用いる形式で出力されていることにあるという。
多くの場合、モニター表示はRGB(Red・Green・Blue)の3色でコントロールされている。RGBは光の3原色とも言われており、この3色を重ね合わせる量で明暗を描き分けている。このRGB各色を0〜255までの範囲(256階調)で変化させることでさまざまな色を表現している。
一方、問題となっているYUVデータというのは、輝度信号(Y)、輝度信号と青色成分の差(U)、輝度信号と赤色成分の差(V)の組み合わせで色を表現する仕組み。人間の目の特性を利用することで、データ量を圧縮している。この圧縮の際に色差成分を間引いていることが原因であるらしいのだ。RGBとYUVは相互変換が可能。ただし、M1搭載MacのYUV出力は、フルレンジよりも階調が少ないため、これをフルレンジに変換しても本来の再現が得られない、ということが原因ということなのだろう。
[2021.1.8.19:00補足]M1搭載MacからのYUV出力に関して、EIZO株式会社からの指摘を補足として追記しています。あわせてご参照いただけましたら幸いです。
ちなみにEIZOの資料によれば、このデータ形式は動画の世界を中心に用いられてきており、PCの高性能化と動画のデジタル化を背景に、PC上でも同形式のデータを扱うことが一般的になってきているのだという。
EIZOによると、このような表示上の問題は従来のMacでもHDMI接続で発生することがあったという。だが、今回のM1を搭載するMac製品ではUSB Type-C接続やDisplayPort変換接続を用いても問題の解決は見られないという。
先述した回避策に目を移そう。同社製品では、一部のColorEdge製品でYUVフォーマットを非対応とする信号フォーマット設定に対応しているモデルがあり、それらの対応製品で以下の対応をすることで回避できる可能性があるという。同社Webページ上では表示状態の比較も掲出されている。同様の問題に悩まされている場合、参考にすることができそうだ。
接続方法 | 設定 |
---|---|
USB Type-C / DisplayPort接続 | 「YUV」表記の無い設定値を選ぶ |
HDMI接続 | 「YUV」表記の無い設定値を選ぶ「Video」モードから「PC」モードに変更する |
「Apple M1チップ搭載MacとEIZOモニターの互換性」(EIZO・Webページより抜粋) |
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