新型コロナウイルスの感染拡大が続くなか、リモートワークを取り入れている企業も多くあるかと思います。
しかし、リモートワークは従業員にとって光熱費や環境整備のための費用が掛かるため、負担が大きくなっている場合もあるかもしれません。
本記事では、最近普及し始めている在宅勤務手当について詳しく解説します。
目次
在宅勤務手当とは、在宅で勤務している従業員に対して支給される手当のことを指します。
在宅で仕事をする場合でも出社時と同様、集中して仕事に取り組めるように、作業用のデスクや椅子、必要な場合は通信回線を従業員自らが費用を負担して導入することがあります。
また、光熱費の増加や作業環境を維持するためにかかる費用などもあります。
在宅勤務によって余計にかかることになった費用を会社が負担するためにある制度が在宅勤務手当です。
在宅勤務手当は、新型コロナウイルスの感染が拡大し、リモートワーク(在宅勤)という働き方を導入する企業が増えいった中で普及し始めました。
リモートワークは、従業員の仕事に対するモチベーションの低下や、在宅時間が増えることによる生活費の負担が膨らむことが懸念されています。
このような懸念に対して、在宅勤務手当を支給する企業が増えていったのです。
では実際に、在宅勤務手当の相場はどのくらいなのでしょうか?
株式会社PLAN-Bが運営するカジナビの調査によると1,000円~5,000円未満の支給が44%と最も多く、2番目には19%で5,000~10,000円未満、全体の平均額は3,683円という結果となっています。
支給額の相場としては3,000円から5,000円と捉えておくと良いでしょう。
参考URL:https://kaji-navi.plan-b.co.jp/remote-allowance/
在宅勤務手当は課税の対象となるのでしょうか?
結論から言うと、在宅勤務手当が課税対象となるかは支給の方法によって異なります。
国税庁の資料によると、
とあります。その一方で、
と記載されています。
つまり、用途を決めずに毎月○○円というように給付をおこなうと課税対象になり、在宅での業務に必要なものを購入する都度、給付をおこなうという形をとると非課税になります。
参考URL:https://www.nta.go.jp/publication/pamph/pdf/0020012-080.pdf
在宅勤務手当の支給は、これまで掛かっていなかった費用を会社側が負担するとあって、導入に前向きになることができない場合もあるのではないでしょうか。
しかし、在宅勤務手当を導入することは、従業員のみならず企業にとってもメリットが存在します。
具体的には以下の通りです。
在宅勤務手当を導入し、従業員が自宅でも会社同様の作業環境で仕事をできるようになることで、長期的な在宅勤務が可能になります。
自宅と会社、どちらで仕事をするかという選択ができるようになれば、結果として企業の働き方改革を促進することができるでしょう。
社員に対してより良い働き方を提供することができれば、社員の定着率の向上など、企業に対して良い影響をもたらすことになります。
従業員の自宅での作業環境が整備され、オフィスに通勤する必要がなくなると、これまでにかかっていた交通費を削減することができます。
仮に1人あたり月に2万円ほどの交通費を支給していた場合、年間で24万円ほどのコストカットが可能です。
毎月の交通費の支給額が大きな企業であればあるほど、削減できる額は大きくなります。
先で在宅勤務手当を導入することによるメリットを解説しましたが、取り組み方によってはかえって生産性を落とすということにもなりかねません。
そういったことを防ぐためにも、企業は在宅勤務手当を導入する前に支給方法や精算の方法、在宅勤務手当として購入できる物品の要件などについて、明確なルールを作成し、従業員に説明しておく必要があります。
そのためにも、以下のことに気を付けて、手当を支給するようにしましょう。
在宅勤務手当を導入する際、どのようにして資金を出すのか(例:通勤手当を在宅勤務手当に変更する)、支給は現金で行うのかなどを明確にしましょう。
通常、在宅勤務手当は備品や通信費、光熱費などに対して支給されるため、既存の就業規則を変更する必要があります。
具体的には、以下の内容について、規則に追加すると良いでしょう。
こういったことをしっかりとおこなっておくことで、よりスムーズに在宅勤務へ移行しやすくなります。
在宅勤務手当の導入に取り組む前に、すでに取り組んでいる企業の事例を参考にするとよりスムーズに導入を進めることができるでしょう。
ここでは他の企業がどのようにして在宅勤務手当の導入をおこなっているのか、事例とともに紹介します。
在宅勤務をおこなっている従業員に対して、作業環境を整備するための在宅勤務手当として毎月5,000円の支給。
富士通株式会社では、2020年の7月、従業員の新たな働き方として「Work Life Shift」を発表しました。これによると、2022年度末までにオフィスの規模を50%ほどまで縮小し、基本的に全ての従業員が在宅勤務へ移行することが予定されています。
参考URL:https://pr.fujitsu.com/jp/news/2020/07/6.html#footnote3
2020年5月以降、雇用形態にかかわらず、500円×出勤日数分を半年ごとに支給(上限は6万円)、ディスプレイやマイクなど、自宅での作業環境の整備に充てることを想定。2020年6月まで、オフィスの椅子を自宅へ配送。
note株式会社では、2020年の3月から在宅勤務をおこなっている全従業員に対して、働く環境整備のサポートという形で在宅勤務手当の支給をおこなっています。
参考URL:https://note.jp/n/n8be76c501925
自宅でのリモートワーク環境を整えるための支援として、臨時特別手当10,000円と臨時通信手当3,500円を支給。それに加え、今後、働く場所にとらわれず活躍できる環境を加速させるために、リモートワークを働き方の前提として、毎月通信手当3,000円を支給。
インターネットインフラサービスを提供するさくらインターネット株式会社では、上記の支給の他にも、緊急出勤手当として1日あたり5,000円の支給や、リモートワークを当社の働き方の前提とするうえで、Web会議ツール「Zoom」の有料アカウントを配布するなど、在宅勤務に対して積極的な施策をとっています。
参考URL:https://www.sakura.ad.jp/information/pressreleases/2020/04/15/1968203378/
全従業員に対して、在宅勤務に必要な費用や出社時に必要なマスクや消毒液などの費用への補助として、1人当たり月3,000円を支給。他にも、従業員が在宅勤務のために購入した、情報機器(モニターやWifiルーターなど)や、作業机・椅子などの物品購入費用を補助。
株式会社日立製作所は、在宅勤務手当としての支給に加えて、感染リスクが高いと考えられる環境下で業務を遂行する従業員に対して1日あたり500~1,000円を支給するなど、手厚い支援策をとっています。そのほかにも、中長期的に在宅勤務などを継続するための施策も数多くとっています。
参考URL:https://www.hitachi.co.jp/New/cnews/month/2020/05/0526.html
「在宅勤務支援金」として、机や椅子、モニター、PC周辺機器、インターネット環境など、それぞれが必要な用途で就労環境を整備できるように1人当たり5万円を一括支給。
株式会社カオナビは、上記の支給と同時に「スイッチワーク」を導入し、仕事の合間に育児の時間を確保するなど、細切れに働くことを認め、1人ひとりが最も成果を出せるよう柔軟に時間を使うことを推奨しています。
参考URL:https://corp.kaonavi.jp/news/pr_20200423/
いかがでしたでしょうか。
一口に在宅勤務手当といっても「毎月一定額を支給する」という形をとっている企業や、「一括で支給する」といった企業など、さまざまあります。
本記事で挙げた注意点に気を付け、効率的な手当支給をおこないましょう。
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