フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプト
執筆:Greg Kable(グレッグ・ケーブル)翻訳:Kenji Nakajima(中嶋健治) コンセプトカーのフォルクスワーゲンID.ライフ。インテリアデザインも、ボディの見た目を反映するようにミニマリスト。小さなモニターによるメーターパネルが、飛行機の操縦桿のようなステアリングホイールに取り付けられている。【写真】フォルクスワーゲンID.ライフ 現行のID.3とID.4 ゴルフGTIとも比較 (71枚)木材が用いられたダッシュボードは、Aピラーを囲み天井まで伸びる。上面はリサイクルのポリエステル素材で覆われ、マット仕上げのアルミニウム・トリムがアクセントになっている。インフォテインメント用のタッチモニターは備わらない。製造コストを抑える理由で、スマートフォンの利用を想定している。ダッシュボード表面に磁石で固定できる構造が考えられており、無線通信でナビやラジオなどの機能をクルマが共有するという。コンセプトカーらしいのが、ダッシュボード上部に埋め込まれた大きなスクリーン。プロジェクターも内蔵され、休憩中にビデオを大画面で楽しめる。前後ともにシートはベンチタイプで、くつろげるラウンジ感を高めている。ダッシュボード上のアルミ・トリムには、ゲームオンという記載が施されていた。若いデジタル世代への配慮なのだろうか。シートの背もたれを倒せば、全長2mのベッドも作れる。比較的コンパクトなボディサイズにも関わらず、車内空間にはゆとりがあり、装備も充実し居心地は良いようだ。
フォルクスワーゲンID.ライフ・コンセプト
木製のダッシュボードに刻まれたスタートボタンを押し、システムオン。ギアセレクターは、ステアリングホイール中央に内蔵されたタッチモニターに組み込まれている。ウインカーのボタンも内蔵され、ステアリングコラムから伸びるバーはない。ID.ライフの着座位置は高く、優れた視認性を得ている。だが、ドライビング体験が具体的にどんなものなのか、今の段階でのご報告は難しい。あくまでもワンオフのコンセプトカーだ。加速力やコーナリングなどの動的性能の検証ではなく、デザインやパッケージングなどが実現可能かを模索する目的で作られている。フォルクスワーゲンのテストコースで、要求の高いセクションを走り抜けるには、技術的な磨き込みが充分ではない。筆者はこれまで、多くのコンセプトカーを運転させてもらった経験がある。少なくともその多くより、遥かに操縦性に優れると感じたことは間違いない。シャシー剛性も充分高く、操作系のしっかり感も得ている。初期段階の設計かもしれないが、すでに量産版が採用するプラットフォームをベースにしていることが理由だろう。サスペンションは、フロントがマクファーソンストラット式で、リアがトーションビーム式という組み合わせ。これは、そのままID.2も採用するそうだ。パワーステアリングは電動機械式で、これもID.3と共有だという。部品をモデル間で共有することは、手頃な価格の純EVを提供するうえで非常に重要。開発コストを削減できるだけでなく、スケールメリットで価格自体も下げられる。
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